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東京に1週間行っていて、帰ってきてからもクリスマスパーティや昼食会などで、胃の休まる暇がありません。東京でのお客様との会食では、結構高級なところばかりをお連れしていただきましたので、残念ながら居酒屋さんとか、ラーメン屋さんなどには一度も行けずじまいでした。東京の高級店では、老舗の鰻屋さんとふぐ料理店を除いて、どこも懐石料理の品ごしらえでした。何品も何品もお料理が出てくるので、一帯どこまで出てくるのかとハラハラしてしまいそうでした。最後に炊き込みご飯とお味噌汁、そして漬物が出てきたときには、もう一品料理攻めに十分あってしまっていて、胃の中の許容範囲はほとんど残っていませんでした。

 

アメリカにお越しになられる日本の方々をアメリカのレストランにお連れすると異口同音に皆様「アメリカの料理のボリュームは凄いですね」と仰られます。さらに私のレストランでの食べっぷりを横目で見ながら、「酒井さんはさすがに胃の方もアメリカナイズされているのですね」などと言われてしまいます。それでも自分の体型だけはアメリカナイズはしていないので、確かに食べっぷりはよいかもしれませんが、体内に余分に溜め込むほどのオーバーカロリーを接取しているわけではありません。アメリカでは、食べきれない量の食事が出たら、残った料理は発泡スチロール製の容器に入れてもらって自宅に持ち帰り、翌日のお昼に食べればよいだけのことです。

 
日本からアメリカにやってくる、その逆でアメリカから日本に行くという長旅の結果、17時間(夏時間では16時間)という時差には人間、どうしたって悩まされてしまいます。若いうちは大したことなかったのですが、50代に入ってからは従来と比べると、日本への出張は時差を強く感じるようになりました。食事の時間になってもあまりお腹が空かないのは、時差の影響だと思います。日本からアメリカに着いたばかりの日本の方を若い人を除いて、それでは本場のステーキを食べに行きましょうというわけには、なかなかいかないだろうと思うのです。日本の懐石料理は確かにアメリカのステーキとはぜんぜんボリュームやカロリーは違うかもしれませんが、何皿も何皿も小出しで出てくる一品料理の数々の抗戦には私の胃袋はとうとう音を上げてしまいました。
 
日本から帰ってきて、弊社のスタッフと弊社でお世話になっているコントラクターとを交えて、隣町にあるチャイニーズ・レストランでランチ会を行いました。全員で6名のごくささやかなランチ会でしたが、料理のオーダーは自然にファミリースタイルにしましょうということになりました。ファミリースタイルというのは、各自がメニューから1品ずつ料理の注文を出すのですが、その人一人分のディシュにするのではなく、全員が少しずつ料理を取り合えるように料理のお皿を回すというやり方です。そうすれば、6人が注文した食事を少量ずつ全部味わうことができるようになります。特にチャイニーズ・レストランでは、数人のグループで食事に行った場合、アメリカ人の多くはこのファミリースタイルを好んで行います。逆に日本人にとっては、あまり馴染みのないやり方ではないかと思います。
 
ファミリースタイルの良い点は、他の人が注文した料理を食べられるということももちろんあるわけですが、何といっても場が和み、会話も弾みます。このシーフード料理は、スパイスが効いててなかなかだね、とか、この豆腐料理で使っている豆腐は揚げ出し豆腐といわれるものだよとか、とにかく全員が料理をシェアしているだけに会話が自然に生まれてきます。日本の懐石料理も同じ1品を各自が食べるので原理は基本的には同じであるはずですが、なぜかファミリースタイルほど会話が先に進まないような気がしました。少なくとも、今回日米のスタイルの違いを前後して経験して私はそう感じました。
 
逆に一人でチャイニーズ・レストランに入って、一品物を頼んだ場合、日本人の胃袋には到底収まりきれないような量がテーブルに運ばれてきます。単一の料理をこれだけいっぱい詰め込めさせられるのは、酷としか言いようがありません。通常は半分すら食べられすに、チャイニーズ独特のボックスに大量に残った料理を入れて持ち帰ることになります。その点、日本の懐石料理はお一人様でお店に入っても十分時間をかけて出てくるお料理を11品楽しむことができます。1人または2人ぐらいであれば、ファミリースタイルはあまり功を奏しませんので、懐石スタイルの方が確かに食事を楽しめるでしょう。人口が減り、近所づきあいや会社の上司や同僚同士でわいわい食べに行く機会が減れば、お店の方でも懐石スタイルの方に自然とシフトしていくのは仕方のないことかもしれません。
 
ただし、私が今回東京で行ったお店は皆高級なところばかりでしたので、高級店だけのトレンドを申してしまっているのかもしれません。私としては、最初の23回目ぐらいまでは懐石スタイルを楽しみましたが、今回帰ってきた後でのアメリカ人を交えたチャイニースでのファミリースタイルには、はまってしまいましたね。懐石スタイルばかりが日本で続いていたので、アメリカのファミリースタイルが新鮮に映りました。そんなこというと、また日本の方から酒井さんは本当にアメリカナイズされたのですねといわれそうですね。そんなことはないと本人だけは頑として思っているのですが。

 


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