
ところが、大学4年生になる娘のアルバイト先で、お客さんからマリナーズの内野席券、4枚をもらったので行かないかと娘から誘われました。対戦相手は、フロリダあるタンパベイ・デビルレイズで、試合は、9月16日(日)の午後1時からプレイボールということではありませんか。娘も私の妻もアメリカ人なのにまだ一度も大リーグの試合を観戦したことがないということで、これは私の責任によるところが大でもあり、それでは千載一遇のチャンスとばかりに、オレゴンから車で妻を連れて、途中娘と娘の友達をピックアップしてシアトルまで行くことになりました。
最近は体力が落ちているので、前日土曜日の午後に出発そして、娘のいるタコマで一泊をして、それで翌日の日曜日の午前中にタコマを出て、セーフコ球場に向かおうということにしました。私の住むセーレムからシアトルまでは車で4時間ちょっとです。距離的には、片道240マイル(約380キロ)です。整備の行き届いたI-5という州間ハイウェイをどこまでも北上していけばよいので、道を間違えることはないのですが、ハイウェイを4時間一人で運転するというのは、けっこうしんどいところがあります。
以前にカナダのトロント出張中に地元のお客さんからトロント・ブルージェイズの試合の内野席券をもらって、見に行ったことがありました。そのときの対戦相手もこのタンパベイ・デビルレイズでした。トロントの球場も開閉式の素晴らしい球場でしたが、雨の多いシアトルにあるセーフコ球場ももちろん開閉式の全天候型のとても見栄えのする最新鋭球場といった趣でした。私たちの席は、内野席とはいっても、最上階の席で、高所恐怖症の毛のある娘は球場を見下ろしていると最初は脚がすくむといって私の手をしっかり握ってきました。
しかし最上階の席は、球場全体が360度に見渡せるので、なかなか乙なものでした。しかも私たち4人のまわりには他の観客の人たちは誰もいなかったので、ちょっと贅沢なスペースで観戦することができました。日曜日ということで満員近くになるのかなと思っていたのですが、お客さんの入りは7割(球場は4万5千人収容)弱といったところだったでしょうか。初めて大リーグの試合が行われる球場に来た妻と娘と娘の友達の女の子にとって、セーフコ球場は、まさに”Field of Dreams”にふさわしかったのではないかと感じました。
当然、私たちのお目当てはイチローを見ることだったものですから、マリナーズの試合を見に行くというよりは、イチローを見に行くといった方がふさわしかったかもしれません。感覚としては、自分たちの母校出身選手の活躍を見に行くような感じがしました。それは、球場には多くの日本人の方々が観戦に来られていましたので、日本人として皆さん同じような感覚をお持ちではなかったかと思います。
時間的に早く球場周辺に着きましたので、球場から比較的近いところに駐車ができ、また球場内にもスムーズに入って、センターフィールドを見下ろせるレストランで、早めのランチをみんなで楽しむことができました。試合には、たくさんの子供たちもマリナーズのユニフォームを着て家族で来られていました。球場の案内係の方々はどなたも皆親切で、特に子供たちには大変フレンドリーでした。球場に入場するところでは、子供たちすべてにマリナーズのランチボックス(お弁当箱)をただで配っていたのですが、うちの娘にも配ろうとして、娘の年を尋ねた係りのおばさんは、”I am sorry, I didn’t know you are an adult.”と言って顔を真っ赤にして娘と爆笑していました。
そのおばさんに聞いてみると、ランチボックスは14歳以下の子供に配るようにとなっていたので、とのお話。娘は、アルバイト先で13歳に間違われたことがあるから、そのときよりはまだましと言って笑っていました。肝心の試合の方ですが、マリナーズの淡白な攻撃と拙出な投手陣と守備とがたたって、デビルレイズに9-2の大敗。イチローはフォアボールと2打席連続安打で、大いに私たちの期待に応えてくれたのが何よりの成果でした。大敗の要因は、投手陣のコントロールがみな悪かったのと、打者にどうしてもヒットを打ってやろうという覇気がイチロー以外には感じられなかったことでした。
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