アメリカの製造業界においては、工場で働くオペレーターの始業時間がやはり朝6時であるとか、7時であるというところも決して珍しくはありません。多くの工場がシフト制で勤務体制が組まれていますので、例えば朝7時から夕方3時半までのデイ・シフト、夕方3時から夜の11時半までのスゥイング・シフト、そして夜11時から翌朝7時半までのグレイブヤード・シフトと3交代制で、1日24時間、週5日の工場稼動を行っているところが一般的です。
アメリカは、今もそうですが世界でも冠たる一大農業国でありまして、町から少し離れただけで、延々と続く牧草地や小麦畑などが視界に飛び込んできます。農業を営む人々は朝が早いわけですから、アメリカは、農民の伝統をいまだに引き継いでいるといえます。その象徴が、アメリカの公務員の就業時間です。連邦政府も州政府も、そして地方自治体の職員も始業開始時間は朝8時と規定されています。日本では、工場は別として、ほとんどのオフィスの始業時間は朝9時ではないでしょうか。
先日こちらで出ている経済誌で興味深い記事を読みました。9年前に行われた、ドイツのダイムラーとアメリカのビックスリーの一角であったクライスラーとの“世紀の合併”で、結局、9年間両社の企業文化の溝が埋まらなかったというのです。ダイムラーの社員たちは、朝は遅く出社し、夜はデイナーを食べながらも仕事の打ち合わせを続け、時には深夜までグラスを傾けながら、最後は大声で唄を歌って乾杯というパターンであったのに対し、クライスラーの社員は、朝早く出社し、バリバリ仕事をこなし、定時になればあまり残業で残るようなことはせず、帰宅につくというパターンであったということが書かれてありました。
もうこれは、国民性の違いというしかないですので、国民性の違いを企業の統合によって統一しようとさせるのは、あまりに無理がありますから、統合されて9年経ったといっても両社の溝が埋まらなかったというのは、さもありなんという感じがいたします。そしてダイムラーは先週、遂にクライスラーを投資ファンドに売却することを正式に発表した次第です。
日本でも得てして製造業の方々は朝早いのには慣れていますが、IT業界や金融関係者はどちらかというとダイムラー型で、夕刻近くになってくると目が冴えだして本領発揮という方々も少なくないかと思います。アメリカ人は、仕事が立て込んでいるときには、朝早く来て、猛然と仕事を片付ける人が管理職の方でもよく目にします。私はお蔭さまで朝型人間なので、このようなアメリカ人の働き方は水に合っているようです。夜になってお酒が入って歌い出すような働き方を毎日していたのだったら、ちょっとついていけなかったでしょうね、きっと。
PS. パシフィック・ドリームス社のサイトにも是非お立ち寄りくださいね。サイトは毎日更新しています。http://www.pacificdreams.org
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