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皆様も最近のニュースからご存知であるかと思いますが、この623日にアメリカの連邦最高裁判所はDOMADefense of Marriage Act; 結婚防衛法 – 1996 )は違憲であるという判決を下しました。この法律があるがために、アメリカでは結婚は男女間でのみ認められるということになっていました。ところがいくつかの州レベルにおいては、同性婚が2000年代に入って認められるようになりました。現在までに認められている州は、現在6州プラスWashington DCです。最初に同性婚を認めた州はマサチューセッツ州(2004年)で、6州の中には、ニューヨーク州も入っています。

 

もう1州カリフォルニア州でも2008年に同性婚を州投票で可決したのですが、州憲法に反するとして未だ再審の手続きを踏んでいるところでした。ところが、先の最高裁の判決を受けて、カリフォルニア州も再審の審議を中止とし、州として合憲に当たるものとして正式に同性婚を認めることがほぼ間違いない状況になってまいりました。最高裁がDOMAを違憲としたことで、今後州レベルでの同性婚の合法化がさらに進むことになると思います。(少なくとも現在8州が同性婚の合法化を審議中です。)

 

DOMAへの違憲判決は出たにせよ、州レベルでのDOMAを認めている州がまだ多数あります。そのような州の場合は、最高裁の判決に関係なく、州のDOMAを州の最高裁が違憲判決を出さない限りにおいては、効力が今までどおり続きます。アメリカの内陸部にある州や南部の州のほとんどは、州のDOMAで同性婚を認めていません。いわゆるレッドステイト(Red States)とアメリカで呼ばれているキリスト教の強い保守的な共和党が地盤としている州ばかりです。

 

州で同性婚が合法化されれば、結婚した相手の人は正式に配偶者として認められることになりますので、会社が提供している団体健康保険は、もし配偶者も加入できるプランであれば、同性の配偶者も当然加入対象になってまいります。また団体生命保険または会社保有の生命保険の当人死亡時の保険金受取人としても同性の配偶者が認められることになります。同じく、401(k) などのリタイアメントプランについても同性の配偶者を受取人にすることができます。もちろん、州所得税に関しても、同性の配偶者への税控除が認められることになります。(ただし、連邦所得税に関しては税控除は今後とも認められません。)

 

また同性婚ではなく、異性間もしくは同性間でいわゆる「同棲」をしているカップルの方々がいらっしゃいます。これらカップルの方々は、結婚という形態は取らずに、ひとつの屋根の下に一緒に暮らしていらっしゃるわけですが、やはり州によっては結婚している場合と同等であるかそれに近い権利を保障しているところがあります。その権利を認めることを州によってはCivil Unionと呼んでいたり、Domestic Partnership と呼んでいたりします。これらの権利を保障している州においては、結婚せずに一緒に暮らしているだけだからといった理由で雇用上における一切の差別をすることを州法で禁止しています。

 

ただし、同棲しているから自動的にCivil UnionまたはDomestic Partnership の権利がもらえるのかというとそんなこともなく、Civil Union またはDomestic Partnership を認めている各州に正式に登録を出さなければなりません。しかしながら、これらの権利を一切認めておらず、もちろん同性婚も認めていない州が全米には現在でも18州あります。それらの州では、最高裁が下したDOMAへの違憲判決の結果に関係なく、これからも同性婚はおろか、Civil UnionDomestic Partnership も認めることは当分ありそうにない話なのです。

 

よく言われることではありますが、アメリカは50の異なる独立国家から成り立っているというのは今回のDOMAの最高裁判決からしてみても、深くうなずけてしまうわけです。なにせ、合衆国憲法同様に各州の憲法が存在しており、その州の憲法の精神に従わない最高裁の判例には州は決して屈する必要はないのですから。