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自宅からオフィスまでの毎日の朝と夜の通勤時間は、片道45分ほどかかるので、11時間半は車の中にいるという生活を始めて今年でもう7年目となります。車の中で聴くのは、もっぱら地元のFMラジオ局ばかり。お気に入りのラジオ局は3局あって、コマーシャルが始まると残りの2局のどちらかで音楽がかかっているところにシフトして、できるだけコマーシャルなし音楽中心の通勤時間になるように心がけています。そんな中で昨年秋ごろから、頻繁にかかる曲で、“Someone Like You”という熱い曲の歌詞が耳から離れなくなりました。そう、あのアデルの大ヒット曲です。
 
最初に耳にしたときは、何か女性同士の友情とその別れを歌った曲なのかなと勝手に想像したりしていたのですが、やはりそれは男女間での別れの歌であるということがほどなくしてわかりました。サウス・ロンドン出身のアデルは、アメリカ英語とはかなり違うクセの強い英語でこの曲を熱唱してくれていますので、アメリカの標準英語(少なくともオレゴンの英語はそう呼べる!)にすっかり耳が慣らされているこの私にとっては、アデルの歌う英語を聞き取るのはとにかく容易ではなかったのです。そしてさらにほどなくして、この曲は“Adele 21”という彼女が21歳になったのを記念して作られたアルバムに収められている曲だということも知りました。
 
現在は23歳のアデルが、21歳のときに作った曲として、とても信じられないほど成熟しきった歌だというのがそのときの印象でした。まあ彼女の年齢のことはさておき、アデル自身の実体験に基づいて作られた歌だと理解していますが、“Someone Like You”をはじめとして、このアルバムの中には、アデルでなければ書けなかった曲ばかりが珠玉のごとく光り輝いています。すでに全世界で1,600万枚という空前の大ヒットになったというのもうなずけます。こんなアルバム、ここ20年ぐらい間なかったのと違うでしょうか。確かマイケル・ジャクソンが持っていた大記録さえも破っています。だから私のお気に入りのラジオ局3局は、とっかえひっかえチューニングさえすればアデルの曲を流してくれています。私の通勤の時間は、至福の時間に変わったのです。
 

21歳にしてこのような完成された大人の曲を作り、白人女性離れした重厚でソウルフルな声量で熱唱しまくってくれるアデルというアーティストはいったいどのような女性であるのか、次にはまってしまったのが、YouTubeにいくつも投稿されている彼女のコンサートでの動画でした。その中でも際立っていたのが昨年9月にかのロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで歌ったライブでの “SomeoneLike You”で、それを最初に見たときには感動を通り越した何かを感じてしまいました。Adele 21のジャケットに移っていた彼女の顔写真と比べると、ライブのご本人はかなりぽっちゃりしたご容姿で、それはそれでとてもチャーミングに見えましたし、本人の性格としてちょっとシャイでお茶目なところもあって、何よりぜんぜん気取らない庶民的で親しみの持てる人柄であることもすぐに目星がつきました。

 

個人的には、もちろんSomeone Like Youもめちゃくちゃいいのだけれども、“Set Fire tothe Rain”が最高に好きな曲で、かなり強烈な感じの歌詞もさることながら、全体の曲作りが本当にうまいなと心底感服、あらためてすごい才能の持ち主だと思いました。この曲を最初に聴いたのは、仕事からの夜遅い帰り道で、自宅近くのとても古いレンガ造りの街並みの一角を運転しているときで、大雨がとめどもなく降っているときでもありました。自分のいる周りがまさにこの曲にピッタリのシーンだったので、よけい強い印象が自分の脳裏に刻み込まれてしまったのでしょう。

 
本人は、先ごろお亡くなりになったばかりのエタ・ジェームスやベテランのロバータ・フラックなど、やはりソウル系の大御所女性シンガーが大好きだったといい、それらアーティストから受けた影響が甚大であったようです。エタ・ジェームスは、1984年のロスアンジェルス・オリンピックの開会式でアメリカ国歌を熱唱したことで多くの人々の記憶に刻まれていますが、ひょっとして今年夏のロンドン・オリンピックの開会式で、イギリス国歌である“God Save the Queen”を熱唱してくれるのは、このアデルであるかもしれませんね。
 
ロイヤル・アルバート・ホールでのアデルのライブはCDDVDが出ているようですね。アメリカでもライブをやってほしいですが、彼女は飛行機に対して相当な恐怖心を持っていて、そのために日本公演も過去2度ほどおじゃんになったといいます。たしかレターマンのレイトナイトショーだったと思いますが、ニューヨークのスタジオで彼女が歌った“Lovesong”もニューヨークの夜の雰囲気とあいまって、しっとりと聴かせるまさに絶妙のライブでした。彼女を取り巻くミュージシャンたちも皆、とてもいい腕してますね。期待をはるかに越える比類なきライブパフォーマーであり、人々の心に刺さる曲作りのできるアデルは、今年2月のグラミー賞には現在6部門でノミネートされていると聞きます。たった6部門なのですかね、これだけのアーティストは今後20年間出ないかもしれないのに。
 

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