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アメリカの1年の中で、最も大事な夕食のひとときは、11月第4週の木曜日にある感謝祭(Thanksgiving Day)の日の夕食であるといわれています。また、アメリカ人が1年のうちで最もカロリーの高い食事を取る日が感謝祭の日だとも言われています。(本当の話です。)日本の元旦のように離れ離れになっている家族もこのひとときの夕食会を求めて一堂に集まります。ですから今週は、空の便や主要ハイウェイはどこも大変な込み合いようとないはずです。
 
感謝祭のもともとの起源は、イギリスから旧宗派からの弾圧や抑圧を逃れてメイフラワー号に乗って1620年にマサチューセッツ州のプリマスに到着したキリスト教の清教徒の一派であるピリグリム・ファーザーズたちが翌年1621年に収穫した最初の農作物の恵を神に感謝し、また作物の種を彼らに分け与え、耕作方法などを伝授してくれた北米大陸の先住民であったワンパノアグ族を招待してご馳走したというのが、この感謝祭の始まりであったとされています。アメリカという新天地がイギリスからの最初の移民でその最初の一歩が記されたという意味から、感謝祭は、アメリカの歴史を感じさせてくれるアメリカらしい祝日ではないかと思います。
 
感謝祭で食される伝統的なメイン・ディシュは、よくご存知のことではないかと思いますが、七面鳥です。11月に入るとどこのスーパーでも冷凍になった七面鳥が山のように積まれるようになります。七面鳥の丸焼きのほかに食される感謝祭でのディシュは、スタッフィング(小さく角切りにしたパンの詰め物)、サツマイモ(スィートポテト)料理、マッシュポテトとグレービーソース、クランベリーソース、グリーンビーン(いんげん)料理などがあります。デザートには、パンプキン・パイやその他のフルーツ系のパイが自宅のオーブンでこんがりと焼かれて、出てきます。
 
食事そのものは、決して豪華というものではなく、自然の恵みの中から収穫された食材を使ったどちらかというと質素なものばかりなのですが、最初に七面鳥とポテト類を食べ過ぎてしまい、デザートは通常かなりの休憩時間を置かないと、胃袋が簡単には受け付けてくれない状態になってしまうのが常であります。感謝祭の翌日も、胃がまだ重い状態が続きます。そして残り物の七面鳥はもう顔も向けたくない気持ちに襲われます。
 
ほとんどの企業が感謝祭の後の金曜日も休みにするので、実質上、アメリカは今週の後半から4連休になります。4連休になるというのは、日本と違ってただでさえ国民の休日が少ないアメリカでは、1年の中でほとんど唯一の4連休であるかともいえます。この感謝祭からアメリカはホリディシーズンと呼ばれる季節に突入し、11日の元日までがこのホリディシーズンにあたります。そしてご存知のようにこの時期は、小売業の最も大きな稼ぎ時であり、何と1年のうちで、このホリディシーズンの売上高が小売業1年間の約半分にまで達するというのですから驚きです。
 
そのホリディシーズンの幕開けを告げるのがまさにこの感謝祭とその4連休となる感謝祭ウイークエンドです。感謝祭翌日の金曜日は、すべてのデパートや量販店、ショッピングモールなども早朝からお店を開けて、1年の中でも最も大きなディスカウントセールを競い合います。この日のために朝4時起きとか5時起きも厭わない家庭の主婦も大勢いて、物凄い勢いでお店に殺到し、早朝から長い列を作ってお店の開店を忍耐強くじっと待ちます。これも毎年アメリカのどこの街にでも見られる感謝祭後の風物詩です。今年はさらにお店の開店時間が早まり、金曜日の午前零時から開業するディスカウントストアがいくつも出てくる模様です。すでにテレビやラジオでは、その手の開店時間のコマーシャルが何日も前から流れています。
 
1年で一番のたくさんのご馳走と1年で一番のディスカウントセール、日中でもほの暗く冷たい雨や雪にさらされる誠に憂鬱な季節の到来時であると同時に、アメリカ人の生活と伝統とに根ざした独特な文化を味わうことのできる、このアメリカらしい感謝祭の週末がこちらでは間もなく始まろうとしております。皆様、食べ過ぎにはくれぐれもご注意され、寒さにも負けぬよう、この時期お体を大切になさってください。
 
P.S.パシフィック・ドリームス社のサイトにも是非お立ち寄りくださいね。http://www.pacificdreams.org まで。