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皆様“ドラマ・クィーン”という言葉をお聞きになったことはありますか。辞書を引いてみましたが載っていないようですので、日本では恐らくあまり馴染みのない英語だと思われます。ドラマは、テレビや映画で見るあのドラマですが、観客の気を引くために、現実の世界では起こりえないようなエピソードが続けざまに急展開していきます。まあそれでドラマというものが成り立っているわけなのですが、人によってはその虚構で固めて作られたドラマ番組と自分が生きている現実の世界とをミックスしてしまい、あたかも自分自身がそのドラマ番組の主人公であるかのように考え、振る舞い、行動をとる女性を揶揄して作られた言葉なのです。
 
女性と書いてしまいましたが、このような傾向にある人は、確かに男女に関りなくこの世の中ではおいでであるかと思うのですが、かといって女性差別でドラマ・クィーンと申しているわけでもなさそうです。ですが、不思議なことにドラマ・キングという英語は聞いたことがなく、やはりなぜか女性に限って使われるようです。ドラマ・クィーンと思われるフシのある女性というのは、どうもアメリカ人女性に多いような気がいたします。これも、アメリカ人女性を差別して申しているわけではなく、例えば、日本人女性と比べてみた場合、アメリカ人女性の方がその傾向がダントツに高いように、これは私の経験からですが、言えるのではないかと申せます。
 
ドラマ・クィーンなる言葉をはじめて聞いたのは、今からもう8年ぐらい前のことではないかと思います。私の経営する会社で地元の人材派遣会社を通じて、経理担当の女性を採用したときのことです。その女性は、普段はとても明るくて、仕事もバリバリと積極的にこなすタイプの人でしたが、その割りには、数字の書き違いや単純な計算ミスが目立つ傾向がありました。給与計算や税金の支払いなどは、計算違いがあっては、致命的となりますので、やはりあるとき彼女を私の自室に呼んでいくつかの間違った計算例を示しながら、いわゆる“ネガティブ・フィードバック”をやんわりと行いました。ところが話し始めて少し立つと、彼女は大粒の涙を大きな目に溜めて、いろいろと彼女の家庭の話をし始めるのでした。家庭では、夫との関係がうまくいっておらず、子供も非行に走って学校で大変なことになっているというようなことを延々と私に涙声で話すわけです。
 
私は彼女の身の上話にはほとほとうんざりしてしまい、そこそこのところで、私からのネガティブ・フィードバックの話し合いは幕を引かざるを得ませんでした。自宅に帰って、私のアメリカ人の妻にそのことの一部始終の話をしてみると、彼女は、典型的なドラマ・クィーンだと云うのです。そのとき初めて、ドラマ・クィーンなる言葉を耳にして以来、私の周囲を注意深く観察してみると確かにアメリカ人女性の何人かは、このドラマ・クィーンの属性を見事に踏襲する傾向にある方々がいるということにあらためて気がつかされた次第でありました。
 

英語では、例えば”There is No Drama.” などと云うことがあります。確か保険会社のコマーシャルにあったフレーズだったと思うのですが、「テレビのドラマ番組で起こるような事件や天変異変などは起こりませんから、どうぞご安心ください」みたいなメッセージがそこには込められていたのではないかと考えられます。普通の生活を送っている普通の人は、確かに”There is No Drama.” なのですが、そのようなドラマが起こることがないメリハリのない人生は価値がないと思い込んでいる方も中にはおられて、そのような傾向の方々が、自分をドラマ番組のヒロインに勝手に摩り替えて、そのヒロインを地で行くような振る舞いや行動を取るのが、まさにドラマ・クィーンのドラマ・クィーンたる真骨頂であるといわれるゆえんです。

 
私は、心理療養者でもないし、カウンセラーでもないので、このようなドラマ・クィーンの兆候のある女性、特にアメリカ人女性と特に職場や仕事上での関係でどのようにして対処していったらよいのかというのは、永遠の課題ではないかとさえ感じます。私はクライアント企業様に対してHRコンサルティングをする立場にある者ですので、相手の方の話をじっくり聞くことは非常に重要であることを理解しています。その意味では、ドラマ・クィーンの女性に対しては、やはりこちら側が忍耐を持って聞き役にまずは徹することは必要でしょう。ドラマ・クィーンの本人も社長は、私の困難な家庭生活のことをじっくりと聞いていてくれたと云うと、やはりそこには何らかの信頼感が芽生えます。やはりドラマ・クィーンであろうがなかろうが、従業員本人との間での信頼感を築いていくことが第一ではないかと思います。
 
 
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