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皆さんは、Resilientという英語、カタカナで書き表しますと「レジリエント」となるのですが、お聞きになったことがありますでしょうか。英和辞書でこの単語を引いてみますと、「弾力性のある」「(逆境や病気などから)すぐに立ち直れる、すぐに元気になる」というような意味が載っていることが分かります。文字通りに取れば、何かにぶつけられたり、ぶつかったりしても、その衝撃をはじき返すだけの柔軟性があり、決してバラバラになったり、壊れたりするようなことがない、元の状態まで修復することができる、さらにはストレスに対して耐性があるという解釈をしてみることができます。
 
結果が第一とされるアメリカの職場環境の中では、高レベルのストレスは常につきもので、結果を出さないことには会社や上司からはまともな評価はまず得られませんし、リストラの対象にさえなります。そのような環境下にあっては、ときにプッツンとキレる社員や部下が出てくることが予想されます。このような社員や部下に対して、同じく上司もキレていたのでは、事態を悪化させるばかりであって、アメリカでは社員からの会社や上司に対して訴訟を起こすことにさえつながります。このようなストレスの大きな職場環境の中にあっても、プッツンとキレずに職場内で円滑な人間関係を続けていくためには、いったいどうしたらよいのでしょうか。
 
このレジリエントという言葉は、心理学ならびにカウンセリング手法の中から世の中に出てきた言葉で、ストレス一杯の状況でもキレない、めげない、諦めないといった心の持ちようを例示的に描いた対処法を意味しています。ちょうど、自分がゴムボールや羽毛でできたクッションのように自分自身をまずは思い描いてみます。そのようなイメージ作戦から、プッツンとキレかかった相手からの舌戦や感情の爆発に対しても、それらに穴をあけられたり、切られたりすることなく、はじき返していくという心の持ちようなのです。感情的になっている人間が、冷静な人間から自分の感情を受け止めてくれ、落ち着いた返球をしてくれるのであれば、その感情は次第に落ち着いてまいります。ストレスの多い職場の中では、誤解やコミュニケーション不足から来る予期していないようなことにぶつかることもあるのですが、それらも冷静に受け止め、あたかもゴムボールをトスするがごとく、相手に優しく投げ返してやることをイメージするのです。
 
このようなレジリエントという心の持ちようは、トップに立つものや、リーダーとしてチームを引率する人にとりましては、とりわけ重要な資質であるということがよくお分かりになっていただけるのではないでしょうか。例えばですが、日本人が海外に出向き、商談や技術契約の交渉を任されているような方々には、仮に肩書きに「長」がつかない方であっても、その方はやはり会社や組織を代表して、あるいは会社からの委任を受けて海外まで行っているわけでありますから、まさにリーダーであります。また海外の相手先は少なくともそのように見なしているはずです。残念なことにその辺の自信や自尊心(英語では、”Self-Esteem”と呼ぶ)が十分ではない日本人の方がこちらアメリカでは時々散見されます。
 
レジリエントになるということは、何も軟弱になったり、相手に媚(こび)を売るようなことではないわけで、そこにはしっかりとした自己の明確な確立が要求されます。海外に行って、相手国の方との商談や交渉をしていく経験を積むことによって、日本人としての意識がかえって鮮明となり、日本にいたときにはあまり意識していなかった自己であるとか、自尊心というものに目覚めることがよくあります。アメリカでは、小学生のときから、学校の先生は、生徒にこのSelf-Esteemを高めるように教育を施します。Self-Esteemの低い生徒がいたら、先生はその生徒の親を学校に呼んで、親との面談を実施して、家庭教育の中でも子供にSelf-Esteemを植えつけることの重要性をとくとくと諭すのです。これは私の娘を通してのアメリカでの公共学校教育の中で実際に経験したことでした。
 
考えてみれば、Self-Esteemの高い人ほど、レジリエントであるようです。それは、確かな自己が確立しているから、他人のちょっとやそっとのキレごとによって自分までが動揺してしまうということがないからだと思います。自分をコントロールすることによって、そして心の中でイメージを描くことによって、困難な状況にも対応することが可能となり、ストレスやフラストレーションを緩和することができます。職場で起こるストレスやフラストレーションは、小さなことが鬱積して起こることが多いですから、些細なことで鬱積がたまらないように日頃から、イメージを作っておくことは大事でしょう。ときには、身近でそのような話を聴いてくれる人を持つこともとても重要なことになります。英語では、身近にいて話を聴いて静かに相打ちを打ってくれる人を”Sounding Board”(共鳴板)と呼びます。ストレスの多い環境の中に身を置く場合にあっては、とりわけ必要とされる人です。当然なのですが、Sounding Board足りうる人もレジリエントな人であるわけです。
 
 
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