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先週金曜日の夜にセーレムの隣町にある、人口は5,000人足らずの小さな田舎町シルバートンで、私の娘のマリエが初めての絵画の個展を妻の友人の勤めるオフィスを使って開きました。シルバートンという町は、アートで地域興しをしているユニークなコミュニティでもあります。小さなダウンタウン近くにあるシティパーク、というよりは、森林公園と呼んだ方がピッタリなのですが、そこで毎年8月後半にアートフェスティバルが開かれます。また、町にはアートアソシエーションがあり、そこが絵画教室などを開いて、町のアートの振興を推進しています。娘は、このシルバートンにあるアートアソシエーションで一般人ならびに子供たちに絵を教えていたこともあって、彼女にとってはシルバートンは特別な町でありました。
 
妻の長年の親友であり、ビジネスのお客様でもあるGwen という女性が経営をしている不動産会社がシルバートンのダウンタウンにあります。Gwenは、我が家に来たときにマリエの描いた油絵を何度も見て、ある1枚の絵にすっかり魅了されてしまいました。あとから聞いた話ですが、Gwenは私の妻に「この絵が気に入ったので、購入したいのだけれどいくらで売ってくれるか、娘さんに聞いてみてくれる?」と頼んだそうです。その晩、マリエは、Gwenからの話を妻から聞いて、「それでは、$1,000プラス額縁代」との即答をし、妻はGwenにその値段をすぐに伝えたところ、Gwenも即断して、購入を決めたという次第でした。その絵は、彼女のオフィスに飾られて、オフィスの空間の中で少なからぬ異彩を放っています。
 
絵のタイトルは、「仮面舞踏」というもので、仮面をつけた男女がダンスを踊っているシーンを描いたものです。絵の構図やその着想は、マリエがローマにある美術大学にアートの勉強で留学していたときに得たもので、ローマでの留学を終えてアメリカに戻ったところで、描き上げた作品でした。まあ、確かに娘が描いた今までの油絵の中では最もサイズの大きな作品であり、それゆえ大作であるといえます。娘の絵が売れたのは、恐らく私の知る限りにおいてはそれが2度目のことではないかと思います。一番最初に売れたのは、大学卒業式の日で、ハウスシェアをしていたハウスメートの女の子のお母さんが卒業式出席のためにLAからお越しになっていて、家に飾られていたマリエの油絵を見て、ほぼ衝動買いに近い形で購入をしてくれたとき以来のことではないかと思います。
 
そのときは、私も娘の大学卒業式出席で居合わせていましたので、娘は、100ドルプラスLAまでの送料といういい値で購入が即成立したのに立ち会ったのでした。大学卒業時(今から3年前)に$100で売れた絵が、今年は$1,000で売買されたのですから、3年でその価値は10倍、これは決して悪くない数字ですので、私も妻も本当に驚きました。マリエの「仮面舞踏」を購入してくれたGwenも素晴らしい買い物をしたということで、オフィスを訪れるお客さんにも絵のことと絵を描いたアーティストのことを随分と吹聴していただいたようです。
 
シルバートンは、先ほどもアートで町興しを行っているコミュニティだと申し上げましたが、毎月最初の金曜日を”First Friday” というアート中心のイベント日にしています。この日の夜はダウンタウンにあるレストランや小売のお店、そしてオフィスビルなどを中心として音楽やダンス、そして絵画の展示などが特別にあって、より多くのお客さんがこのシルバートンのダウンタウンを訪れて楽しんでもらえるようにとの企画を立てた、まさに小さな町にとっては一大イベントの夜だったのです。Gwenは、このFirst Fridayに自分のオフィスを開放して、マリエの油絵の展示会、すなわち個展の開催を申し出てくれたのでした。
 
私は仕事にかこつけて何も手伝いは出来なかったのですが、娘と妻は、油絵をGwenのオフィスに掲げるためにホンダCR-Vに大工道具と絵画とを詰め込んで、半日がかりでオフィス中に絵画の取り付けを行いました。マリエの油絵で囲まれ、飾られたオフィス空間は、ちょっとした非日常空間とも呼べる華やいだ雰囲気になりました。また、Gwenの持つそのオフィスは大変クラシックなというか、アンティークな内装なのですが、マリエの絵がシックリとマッチしていて、オフィスの空気を和ませてくれているように感じました。娘の個展は、大成功で、多くの方々が足を止めて、絵画の鑑賞をしてくれました。娘の友人や地元のアーティスト、そして娘に絵を習っている生徒さんとその生徒さんの親御さんたちもおいでになってくれて、娘は大変ハッピーな一夜のイベントをおくることができました。私はその晩、勤務後にただ個展に駆けつけただけでありましたが、本当に娘同様、自分のことのようにハッピーな気持ちで一杯となったひと時でした。
 
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