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最近弊社で「スティーブ・ジョブズ/驚異のプレゼン人々を惹きつける18の法則」というご存知アップルのカリスマ的CEOスティーブ・ジョブズのプレゼンテクニックに関する書籍をご紹介しました。その第一幕第1章では、“構想はアナログでまとめる”となっておりまして、最初の構想作りは、パワーポイントから入るのではなく、PCは使わずに紙とペンだけを用いて構想をまとめろと指南しています。かのスティーブ・ジョブズもそうやっているといいます。何でもかんでもPCの前に座って四六時中あわただしくしている私たちにとっては、これは不意を突かれた、かなり斬新な指摘なのではないでしょうか。
 
同書の著者であり、コミュニケーション・コーチングのエキスパートでありますカーマイン・ガロ氏は、紙とペンで構想が生まれ、会社が立ち上がった例として、かのサウスウエスト航空の話を本書中で取り上げています。サウスウエスト航空創立者の一人であるハーブ・ケラハー氏が社の会計士と食事を取りながら話をしていた際に、彼が紙ナプキンにダラス、ヒューストン、サンアントニオの3点を結ぶポンチ絵を描いたのがきっかけで、ポイント・ツー・ポイントという地方空港を直接結ぶサウスウエスト航空の路線戦略が生まれたのだといいます。それは従来の大手航空会社が取っていた「ハブアンドスポーク」と呼ばれるネットワーク型路線に対抗して、路線形態を異にする独自の国内航空網を新たに作り上げ、低運賃であるにもかかわらず、きわめて効率の高い運営を行っているのは、有名な話です。
 
紙というものが実際に発明されたのは、中国の後漢時代のことで西暦105年ごろのことだといわれています。それ以来人類は、紙という情報媒体を現代に至っても使われ続けています。しかしここ23年来、その紙を模した形で現れたのが、アマゾンのキンドル(Kindle)であり、ソニーのリーダー(Reader)で、今年になってからアップルのiPadがお目見えしたのは、どなたも知るところです。グーテンベルグが15世紀半ば(1455年ごろ)に発明したかの活版印刷技術で、刷り上げられた聖書から遡って、すでに550年以上の時が経過した現在、そのグーテンベルグの印刷技術を使って印刷された書籍という紙の媒体を凌駕する電子技術がとうとうお目見えしたわけです。
 
これら電子出版技術や電子書籍の勃興で、世にある多くの出版会社と業界はあたふたとした対応を迫られ、作家との間の今後の関係や著作権をどうするのかといった混乱の極みの中にあるように思えます。それでも大型書店の丸善などでは、紙の書籍と電子書籍との共存共栄をモットーに掲げて、今後とも書店の単なる生き残りという枠組みにとらわれずに、積極的に書店の大型化に投資をしてゆくというのは、今後の結果はどうなるのか油断は決して許されませんが、本好き人間にとっては誠に好感の持てる方針を打ち出してくれたのではないかと感じます。
 
私は、多くの知識人や本好き人間が言うように、アナログの本がすべてデジタル化されて電子書籍になるということは恐らくありえないことだろうし、電子書籍の類をまだ使ったこともない人間が云うのもなんなのですが、たとえiPodであっても読書がより便利になるのかもしれないけれども、万全であるとは言い難いと思います。それは、紙の本が持つ質感や手触り、本の装丁、赤線を引いた箇所やポストイットを貼ったページ、紙の匂いといったまさにアナログでしか体現することの出来ない要素がデジタル化されることで、大部分は残念なら見事に失ってしまうからです。
 
同じく、新しいアイデアや計画などを練るとき、PCの前にただ黙って座っているだけではなく、PCを閉じて横に退けて、紙とペンを持ち出して机の中央に置きます。そしてまっさらな紙の上にペンを走らせて、さまざまな図やフローチャートなどを描きながら、頭の中にある構想を具現化させるという芸当は、やはりPC上で行うのは難しいことです。紙の上ではそれが簡単に出来ます。デジタル化された業務の多くは、PCなしには何ともしようがないわけですが、構想を練るのに、必ずしもデジタル化は必要ではありません。どうも私たちはPCがないと仕事にならないという呪縛にとらわれすぎている傾向が強すぎます。PCがまだなかった20年以上前の時代は、確かに紙とペンを主に頼って私たちは仕事をしていたはずです。
 
紙とペンを使うことで、まず私たちの手が文字や絵を描くという動作が要求されます。PCでももちろん手(指)は使うのですが、どうも紙の上でペンを走らせるときの動作の要求レベルとは、脳や神経の使っている部位が違うように思えます。脳の違う箇所を使って脳を活性していくことは、自己の能力開発の上でも重要なことです。それだからPCだけを使っていたのでは、決して思いつかないようなアイデアが、紙とペンから生まれてくることがあるということを信じたいものです。もし、そのような機会をPCだけに依存していることで、失ってしまっているとしたらそれは、本当に不幸なことであり、機会の喪失です。紙とペンとを使ってアナログで仕事をすることの意義と効用とを私たちは、日常の中でもあらためて再認識する必要が大いにあるのではないでしょうか。
 
 
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