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ご存知かと思いますが、アメリカの税制は、連邦政府に支払う連邦税と州政府に支払う州税との二本立てになっています。州税は、州ごとに法律が異なりますので、税の種類や税率などは、州によってまちまちです。私の住むオレゴン州は、何と消費税(Sales Tax)がありません。いまだにオレゴン州にあるお店であればどこでも値札についた金額そのままで品物を購入することができます。アメリカでは、消費税のない州は、オレゴン州を含めて全米で4州しかないと聞いています。(アラスカ、モンタナ、ニューハンプシャー)
 
消費税の税率も州によってすべて異なっていますが、6 ~ 9.8% の範囲内に収まっている模様です。さらに大都市の中の一部には、市の消費税を課しているところもあり、州の中でも一様ではなく、税率は複雑です。ここオレゴン州は、州内であればどこ行っても消費税はかかりませんので、そのような税率の心配もまったく無用です。だから私は、州外の出張先などで物を買うのは、生来の貧乏性のせいもあってか、やはりためらってしまうことが多いです。出張が終わってオレゴン州に舞い戻れば、10%近く割安で買えるなどとつい考えてしまいます。逆に州外からオレゴン州に出張や観光で来られた方々には、オレゴン州で沢山買い物をしていっていただきたいですね。
 

さて、消費税がないオレゴン州ですが、どこから州税の歳入を確保しているのかといいますと、勤労者ならびに企業からの所得税(Income Tax)と不動産にかかる固定資産税(Property Tax)からということになります。特に固定資産税の税率は全米の中でもオレゴン州は、二番目に高いと聞いています。そこで、賢い方は、コロンビア川を越えたワシントン州にある川向こうの町でありますバンクーバー市(カナダの冬季オリンピックを行ったバンクーバーとは異なります)に住み、仕事は毎日コロンビア川を渡って、オレゴン州のポートランドまで車で通勤し、仕事の帰りに消費税のかからないポートランドで買い物をして帰宅するというパターンを取られています。

 
このパターンでさらにバンクーバー側に住む住人にとって有利であるのは、オレゴン州で働いて収入を得ていても住まいがワシントン州であれば、個人の確定申告は当然ワシントン州で行うことになりますから、ワシントン州の税制が適用となります。ワシントン州には、個人の所得税がありませんので、州に納めなければならない所得税はゼロです。このようなライフスタイルを設定することによって、生涯に州政府に対して支払う州税はかなり節約できるはずです。ということで、多くの人がワシントン州に住んでポートランドをはじめとするオレゴン州側で仕事をして、買い物もオレゴン州でするというパターンをとって節税にせっせと励んでいます。そのためにバンクーバー市は、人口の増加が顕著で町は発展しています。
 
しかしそれでは、本来ワシントン州側で買い物をすれば買物客から取れるはずの消費税が入らないワシントン州の税務局としては、面白いはずがありません。最近とある筋から聞いた話なのですが、ワシントン州の税務局員がポートランド空港近くに新しく出来た大型ショッピングモールに眼を光らせ、駐車場にてワシントン州ナンバーの車が来ていないかどうかのチェックを行っている本当のような嘘のような話を聞きました。なるほど、大型チェーンの家電店や家具店で、数千ドルの商品をオレゴン州で購入すれば、ワシントン州で購入した場合にかかる消費税9%あまりが浮くことになるわけですから、ワシントン州税務局も指をくわえて、はいどうぞご自由にというわけにはいかないのでしょう。
 
日本では、ご存知のように菅首相が参院選前に消費税10%を口に出して、民主党は参院選では惨敗しました。日本の国家財政破綻が現実味を帯びつつあるこの昨今、確かに消費税の先行きを選挙戦で避けて通すことは今後とも出来ないものと思います。現今の5%の消費税を10%にすることによって、日本の破綻に瀕している財源が果たしてそれで見事に復活できるのかどうかという筋道を政治としてきちんと立てなければ、どんな国民だって納得できるはずはありません。日本は世界的に見れば、消費税自体は、5%という最小限度の税率に抑えられています。しかし、法人税には40%という世界最高税率が適用されています。これでは、日本に本社のある企業はいつ日本脱出を図ってもおかしくない状況にあるといっても過言ではありません。
 
アメリカのよいところは、州民によって税に対する考え方が異なるというところで、節税に対して賢いやり方を考え、実行すればかなりの節約を達成することができるところにあります。そのためには、税制そのものをよく知り、必要であれば優秀な税理士やコンサルタントの協力も仰ぐ必要があります。合法的なオプションがいろいろと用意されています。それに比べると日本は、税制をはじめとして多くの面において柔軟性がなく、制度が硬直化しているように思えます。その辺が、日本の国際的競争力をそぎ落としてきた遠因となってはいないでしょうか。税金対策は、企業経営者の端くれであります私にとっても頭の痛い課題でありますが、アメリカでは確かにいろいろと工夫のし甲斐ある分野でもあります。私もバンクーバー市民の節税に対する知恵に少しでもあやかりたいものです。
 
 
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