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最近読んだ日経ビジネス誌の中に二人の企業トップの方が毎日実践されている従業員との接し方について書かれた記事がありました。その2つの記事を読んだ私は、思わずこれは経営者の端くれである私としては、背筋を正さねばまずいと思わず唸ってしまったほど、経営者たるものは斯くあるべきみたいなインパクトのある内容でありました。ひとつは、アウディ・ジャパン社長でフランス人であるドミニク・ベッシュ氏が20074月に社長就任以来、毎朝欠かさずオフィス回りをして、80人ほどの本社で働く従業員全員と握手を交わすという恒例行事を日課にしているという記事です。(日経ビジネス426日号) そしてもうひとつの記事は、ぐるなび会長であります滝久雄氏の従業員との週3回の「歩く会議」の実践です。(日経ビジネス75日号)
 
滝会長が健康増進のために始めたウォーキングを三日坊主で終わらせないために取った秘策が、一緒に歩く人を社内で日替わりで募るようにしたことだといいます。一緒に歩きながら仕事での問題点や進捗状況を従業員から訊くというのを習慣にしてすでに16年が経つのだそうです。一緒に歩く時間は、皇居数編1週の7キロを70分で歩くというコースです。毎年150名以上の従業員と話をしながら歩くと、若い人の考え方や感性を新たに知り、脳が活性化して、新しいアイデアもガンガン思いつくのだそうです。70分というのはひとつのテーマを議論するには、ほどよい時間でもあるようです。
 
アウディ・ジャパンのベッシュ社長は、毎朝10分程度かけて、全従業員と握手をすることによって、従業員の顔色や声などから彼ら彼女らの健康状態までがほぼわかるというのです。また社長が普通は関らない業務をやっている部署の人とも、少なくとも毎朝1回は顔を合わせることで、社長は、社内の持つ雰囲気を察することが出来るし、従業員は、社長との間の距離感が縮まり、親近感が増大するというものです。それは、社長就任した当時のアウディ・ジャパンが従業員の間で一体感がなく、皆バラバラであったという状況を見通して、この毎朝の行事を敢行したというのです。それが、今では社長との握手がきっかけになって、社内は、個人プレー中心ではなく、会社全体の最適化を考えるチームプレー中心の社内風土が培われ、それが日本でのアウディ販売台数の増加という好結果になって表れているという記事でした。
 
ぐるなびでは、会長が歩く会議をするものだから、社長も他の幹部社員もみなその方式を取り入れて、歩きながら会議をするスタイルが社内で定着しているのだそうです。いずれにしても、経営者が実行して自らやっていること自体は至極シンプルで、愚直な感じさえするのですが、キーとなるのは、トップが率先垂範して継続させていることがすごいところです。まあ経営者であれば、いろいろなアイデアは当然浮かんできます。しかしそれを実行に移し、しかも何年も、あるいは社長就任以来毎日欠かさずとかいうのは、まさに「言うは易し、行うは難き」の世界そのものだと思います。
 
特にそれが自分ひとりの目標なのではなく、対従業員関係であるというところにさらに簡単ではないところがあるように思われます。これも実際に経営者になったことのある人でなければなかなか理解できないことです。強力なリーダーシップを備えたカリスマ的経営トップであれば、恐らく従業員は嫌な顔をして嫌々従うだけでしょうから、そんなに長続きするわけがありません。社長がわざわざ握手してくれた、私の話を歩きながら聞いてくれたというのは、やはり特別な印象を残すでしょうし、双方向でのコミュニケーションが生まれることになります。人は誰でも認められれば、モチベーションが高まるし、自分以外の人たちとの間でも協力してやっていこうという気持ちになります。それが経営トップから率先して行動に移しているのですから、従業員が感化されないわけがないですね。
 
こちらアメリカのビジネス誌(INC.)で以前、従業員のクルマを毎週手洗いで洗うということを敢行しているスモールビジネスの経営者の記事(会社名は忘れてしまいましたが)が載っていたことがあります。たとえば、その週に誕生日を迎えた従業員、あるいは1年間皆勤賞を達成した従業員、クルマを洗う従業員はまあ理由は何でもよいわけです。確かにクルマを洗うのであれば、洗車に使う洗剤代とスポンジぐらいしか、費用自体はかかりませんので、経営者にとっては極めて安上がりにつく従業員へのインセンティブということになります。ですが、お金では買えない付加価値がついてくるのは確かで、その会社は、INC誌が挙げるスモールビジネスのランク付けでも急上昇をしている会社でした。
 
やはり結論から言うと、経営トップがアイデアを出し、実行に移し、途中でやめない意志の強さという点におきまして、本日取り上げました経営トップはいずれも大いなる尊敬に値する方々であり、人間的に大変優れた素養をお持ちの方々であるといわざるを得ません。少々古臭い言い方で恐縮ですが、経営者だといってもその末席を汚す身である私としては、爪の垢でも煎じて呑まなければなりません。健康上、歩くことが重要であると思いますので、その辺あたりからスタートが出来ればと思います。でも私は、人まねはあまり好きではないので、自分なりにアイデアを出してみます。そんなことを言っていると、いつまでも何も実行できないかもしれませんね。
 
 
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