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日本の学校のほとんども夏休みに入った頃かと思いますが、こちらアメリカでは6月の中旬からすでにほとんどの学校は夏休み突入で、9月の第一月曜日に定められているLabor Dayというアメリカ国民の祝日明けの次の日(つまり火曜日)から新学期が始まるまで実に3ヶ月近くの夏休みがあります。そんな長い夏休みの間、学校のない子供たちは一体毎日どうやって家庭で過ごしているのだろうかと疑問に思う方もきっと少なくないのではないかと思います。いまは、もう大学院まで昨年卒業して、働きに出ている私の一人娘も、小学生のときなどは、いったいどのようにして過ごしていたのか、いまとなっては詳しく思い出すことも怪しいのですが、教会で行っていたサマーキャンプなどのプログラムには、よく参加していたように思います。
 
サマーキャンプというと、海や山にある林間学校のような施設やキャンプ場などに行くことを思い浮かべられるかもしれませんが、こちらでは特にどこか遠出をして、キャンプ場に行くからサマーキャンプだということもなくて、教会の空き部屋を使って子供たちがお絵かきをしたり、合唱の練習をするのも、夏休み中のことであれば、こちらでは押し並べてサマーキャンプと呼んでいます。もちろん、YMCAなどが開催する海辺や山間部にあるれっきとしたキャンプ場を使っての寝泊り込みのサマーキャンプももちろんあります。それでもサマーキャンプというと、もっと手ごろに参加のできる課外活動を指すことの方が一般的です。
 

子供たちも成長をして高校生ぐらいになりますと、今度は、将来の大学での進路を考えて、より専門的な分野でのサマーキャンプに参加するティーンネィジャーが目立つようになります。私の娘も高校生のとき、Oregon State Universityのキャンパスと寮を使っての”JumpStart“と呼ばれる大学レベルのアート専門プログラムのサマーキャンプにひと夏参加したことがありました。JumpStartとは、エンストを起こしてエンジンがかからなくなった車にジャンプケーブルをつなげてエンジンをかけるという意味から来ていますが、転じて、エンジンを勢いよく掛けて人より先んじてスタートを切るという意味がこの英語には含まれています。9月からの新学期を控えて、先走りをして新たな分野の勉強を紐解くというような意味合いも兼ねて、サマーキャンプでは、Jump Startというネーミングをつけたプログラムが特に多いように感じられます。

 

JumpStartのような専門性の高いプログラムを何週間も大学の施設を使って行うというサマーキャンプは、それなりに高額な参加費が課せられています。それら高額な参加費を捻出しなければならない親御さんは、持っている経済力が試されるということになります。私も娘の当時の参加費用を聞いて、心臓の鼓動が思わず高鳴ったことを思い出します。しかしアート専攻で将来はその道に進むような志を持っている高校生には、親としては何としても参加させてやりたいと思うのは、自然な成り行きです。とはいっても、恵まれない家庭環境にある子供であったら、やはりそれはかなわぬ夢に終わってしまいます。優秀で才能にも恵まれた子供たちにそのようなチャンスを与えるために、コミュニティ単位で奨学金を募って、サマーキャンプへの参加費用として捻出するボランティア団体や非営利組織がアメリカには草の根ベースで存在しています。

 
5月の終わりに開かれた市民オーケストラの定期コンサートで、数人の選ばれた高校生がコンサートの最後で壇上に上がって、音楽関係のサマーキャンプ参加費用のための小切手を受け取っていました。すでにどのようなサマーキャンプの参加するのかも決められていて、その費用に当てるための小切手を地元の市民オーケストラグループが、コンサートチケットの売上げから捻出して、有数な高校生に配分したというわけです。このようなインセンティブは、この市民オーケストラの毎年恒例の伝統となっているとのことで、このインセンティブを受けた高校生がやがて音楽大学を卒業し、将来地元コミュニティの学区に戻ってきて音楽教師となり、さらにこの市民オーケストラでも演奏をするようになるかもしれません。
 
決してそのようなことを初めから期待しているわけではないともいますが、そのようなよき循環が生まれていると云うのも真実ではないかと思います。学校もない、宿題もない3ヶ月近くにわたるアメリカの長い夏休みの間に、このようにサマーキャンプを通じて普段の学校での授業では経験できないような貴重な学習体験を積むことが出来ると云うのもアメリカらしいところであるのかもしれません。そのようなチャンスがすべての子供たちに開かれているということも素晴らしいことだと感じます。このような伝統がいつまでも失われることなく、次世代にもつなげられていくことを願っています。
 

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