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ここオレゴン州の先月5月の失業率は、10.6%でした。同じ月の全米平均が9.7%ですから、オレゴン州の失業率は、平均より1%近く高い数字です。残念ながらオレゴン州は、ほとんど好況・不況のサイクルにかかわらず常に全米平均よりも失業率が高い州として知れわたっています。それはいったいどうしてなのか、最近アメリカ人の女性エコノミストの方の話を聞いて合点が行ったことがありましたので、オレゴン州の特殊事情みたいなところをこっそり皆さんにご紹介させていただきます。
 
オレゴン州に対する印象、特に経済の中心地でありますポートランドに対しては、アメリカの中でも若者を中心として住んでみたい街のトップ3に常にランクされている街で、かっこいい街、ナウくて環境に優しい今風の街という印象が定着しているのだそうです。これは、オレゴン州以外に住むアメリカ人の方が云うのですから、説得力があります。そしてポートランドに対して何となく憧れを抱く若者は、自分の車に目いっぱい入るだけの身支度品を突っ込んで何はさておき、ポートランドを目指してハイウェイを突っ走るのだそうです。
 
そこで一緒に話を聞いていた他の日本人の方から、「ちょっと待ってください、そのアメリカ人は、特に仕事も住む場所も何も決まっていないのに、ポートランドにただ向かって引越しするんですか?」という質問です。日本人なら、まずは仕事の面接や大学の下見に行くというだけであれば、十分理解できるものの、それ以前の段階で自分が単に憧れている街だから車とともに引越しをしてしまうというのは、ほとんどありえない話だというそんな心情の発露が感じられる質問だったわけです。
 
確かに思い出してみれば、私の周りにも仕事や住む場所などまったくあてがないにもかかわらず、とりあえずオレゴンに移ってきたというアメリカ人の知人が今までに何人もいて、彼らの名前と顔が脳裏に思い浮かんでまいります。私の会社に面接にきたアメリカ人の若い人たちの中にもそのようなことを面接で話してくれた方が今までに何人もいました。彼らいわく、私の友達がポートランドに移ってとても快適で素晴らしい街だからあなたも絶対ここに来るべきだといわれてやってきたと。
 
ということは、仕事もなくてとにかくポートランドに全米から引っ越してくる若者があとを立たないということは、単純に考えてみて、オレゴン州全体の失業率を高める確固たる要因になっていると云うのが、そのエコノミストの言い分でした。シリコンバレーやシアトルなどと違って、ただでさえ、ここポートランドには、地域の雇用に貢献できるような大企業がせいぜいインテルとナイキの2社ぐらいしかなく、あとは、こう云っては多少語弊があるかもしれませんが、スモールビジネスに少々毛が生えた程度の企業があまたあるだけの、ビジネスの街としては、全米の主な大都市と比べて、もともと雇用事情はそれほど強くない地域なわけです。
 
確かに環境に優しく、アメリカの都市として珍しく街と街とを公共の交通機関が結んでいて、クルマを持たなくても十分に生活が出来、仕事にも行けるメリットがあるのは特筆すべきことですし、住居と職場とが近距離圏内に位置しているという点でもポートランドは、便利な地域だといえます。しかし、多くの雇用を生み出すような企業が非常に限られているという点では、ポートランドは、求職者にとっては決してメリットのある街ではありません。ですから、常に失業率が全米よりも高いという傾向が残念ながらしっかり定着してしまっているわけです。
 
ビジネスをする上で、あるいは新しくベンチャー企業を立ち上げる上で、シリコンバレーと比べて決して見劣りするような環境ではないポートランドなのですが、シリコンバレーとの違いをひとつ指摘すれば、ベンチャーの立ち上げを支援する体制が脆弱であると申せます。シリコンバレーのように、将来有望なテクノロジーを持ったベンチャーの立ち上げと新規株式上場という一攫千金を狙うベンチャーキャピタリストや投資銀行家というような人種がこの環境に優しい街、ポートランドにはふさわしくないのか、どうも存在しないようなのです。それがまたポートランドらしさを維持し続け、全米の若者を惹きつけ続けている理由なのかもしれませんが。
 
 

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