これでとうとう ”Grass-eating Boys” がアメリカの中でも何かもうちゃんとした市民権を得たような感じを私は思わず抱いてしまいました。 片や、そのコメントを寄せてくれた女性はそのニュースを聴いて、“フラワーチルドレン”と呼ばれた1960年代のアメリカの若者がベトナム戦争反対や世界平和を唱えて、反政府的な行動を取ったときのような感じがすると語ってくれました。 確かに日本の若者、特に男子は、昨今の厳しい浮世の現実に対して、就職や結婚など、経済的自立に関しては将来ともに希望が持てない、そんな中では、草食化していく日本の若い男子のトレンドは、政治や社会が混乱を極めていた1960年代のアメリカに酷似しているといわれてもそれは仕方がないのかもしれません。
これも最近のインターネットニュースで知ったことですが、日本からアメリカに留学する学生数がかなり落ちているとか。 どのくらいの学生がアメリカの大学に留学しているのかと思わず興味を持って、ニュースを眺めていたところ、平均的には毎年7万人を超える若者が日本から海を渡ってアメリカの大学に何らかの形で留学に来ているそうです。 ところが今年は、1万人以上も減少して6万人台になったのだそうで、アメリカ大使館関係者などは、将来の日米関係にとっては決して喜ばしいことではないと懸念を深めているとのことです。 私からすれば、この経済危機の真っ只中にまだ6万人もアメリカまで留学する日本の若者がいると云うのは、まんざらでもないなという思いを抱きました。
今までアメリカに留学できていた日本人の中には、日本の第一希望大学に入れないがために、世間体や親の見栄なども働いて、自分の意志とは裏腹でアメリカにとりあえず来たという連中も少なからずいたのではと思われます。 今回の経済危機では、さすがに親のすねも先細っていることでしょうから、親がアメリカ行きをプッシュすることもまかりならず、また日本以上に過酷な競争社会であるアメリカをメディアもこぞって喧伝しているため、若い連中も当然二の足を踏んでいることでしょうから、その意味で、本当にアメリカに来て勉強したいという意志のある者だけが絞り込まれた結果であるならば、それはそれで6万人という数字は十分意味のある数字ではないかと私には思われるのです。
しかし、親も子もアメリカは、厳しい社会だから日本にいて勉強していた方がよっぽどよいとかいう風潮が日本中に蔓延してくるようだとやはり、アメリカ大使館員ではなくとも、これは大いに気がかりなことであると申せます。 その昔、ペリー提督率いる黒船がやってきて開港を徳川幕府に要求したときから、そしてかの福沢諭吉が、Competitionを“競争”と翻訳して、幕府の役人から欧米の厳しい社会事情を日本に持ち込むのはよろしくないと牽制を送られた江戸時代末期と現在の情報化の行き届いた日本社会との間で、依然として思想レベルが何ら変わりないようにさえ映ります。
日本の若い男子の草食化という現象は、私たち日本人全員の責任であり、日本社会全体の写し絵ではないでしょうか。 60年代のアメリカは、フラワーチルドレンやヒッピーが若者の間で幅を利かせた時代でしたが、現在の日本男子の草食化傾向は、そのような一大ムーブメントに躍り出るまでの気配や気迫はまるで感じられません。 あくまでも日本的に自己主張のほとんどない、まわりから察してもらったり、声を掛けてやらないと存在も定かではない、そんな静かで真面目でおとなしい若者がますます繁殖していく社会だとしたら、やはり日本の将来は他国との熾烈な競争の中では、決して明るいものにはならないだろうと危惧されるのです。
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