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最近の日本のメディアを少なからず賑わせているとおぼしき「草食系男子」という言葉、私なぞ最初に聞いたときには、何かベジタリアン(菜食主義者)にでも宗旨替えした若い男連中が日本では急激に繁殖でもし始めたのかとてっきり思い込んでおりました。でも、ベジタリアンとは何ら関係がないことがその後すぐに分かりました。 草食の反対は、もちろん肉食で、私の頃の世代は今の若い世代と比べてみたら、明らかに肉食系が多かったかと思います。また、草食系男子の比較形として肉食系女子なる言葉も生まれているとうかがい知りました。

草食系男子をそれでは英語でなんて呼んだら理解してもらえるか、我が家の中でも試してみました。 辞書を引くと、草食動物として文字通り、”Grass-eating Animal” という訳語が載っています。 そうすると必然的に草食系男子は、”Grass-eating Boy(s)” となります。 やはり我が家のネイティブの二人(妻と娘)にはこの英語の意味するところは、まったく通じません。 ではどのような英語を使ったら通じるのか、まずは日本語で意味するところを正確に知っていなければ、英語に直すことなどできません。

日本のビジネス誌や新聞、そしてインターネット検索などを駆使して調べてみますと、草食系男子についてはいろいろと書かれてありますね。 まず、ウイキペディアにある草食系男子の定義では、「協調性が高く、家庭的で優しいが、恋愛には積極的ではない主に20、30代の若い男性を指す」とあります。 ここで、「恋愛に積極的ではない」というところが何かいかにも日本的特殊事情があることが伺えますね。 単にリスクを取らないとか、家で引きこもっているとか、仲間内だけで戯れているといった感じなのかなとベジタリアンの誤解の後では、あれこれ思考を張り巡らせてみましたが、女性に対して積極的でない、あるいは然るべき恋愛に向けての行動を取らない若い男性というイメージが一番根底にあったのです。

これでは、日本はますます結婚しない男子ばかりが増えていき、その帰結として女性の合計特殊出生率は低下する一方で、社会の少子高齢化がますます進むという縮図が鮮明に脳裏に浮かんでまいります。 ご存知のように2005年を境としてすでに日本は人口減少時代に突入していますが、そのスピードに拍車がかかっているという証左をまざまざと見るような気がいたします。 一方で、「婚活」なる言葉が生まれて、合同コンパやお見合いパーティなどのイベントも盛んに日本各地で開かれているようですが、当の男子が積極的ではなく、親などから尻を叩かれて参加しているとしたら、婚活も単なる言葉遊びで終わってしまいかねません。

日本の文部科学省が100%スポンサーになっているJET(Japan Education & Training)という海外からの若い人を最低1年間、地方の公立学校で英語を教えてもらうというプログラムがあります。 ポートランドには、このJETプログラムに参加した若いアメリカ人が結構多くいて、JETプログラムの同窓会組織があるほどです。 私の知っているアメリカ人の何人かもJETプログラムに参加したことのある人たちがいて、時々オレゴンの日米協会主催のイベントなどで顔をあわせることがあります。 そんな時、JETプログラムを終えてポートランドに戻ってきたばかりの妙齢のアメリカ人女性は、日本での経験は素晴らしかったけれども、男性はあまり男らしくなくて、頼りがいがないように見えたと、まさに草食系男子の出現をズバリ予見している言葉を漏らしていたのを2,3年前に偶然耳にしたことがありました。

その女性は、人種や文化に対してまったく偏見のない、いわゆるグローバルな感じのオープンマインドの人でしたので、恐らく男らしくて頼れそうな男性を日本で見つけていたら、少なくともボーイフレンドぐらいの関係にはなっていたのではなかったかと勝手にこちらで推測を働かせたものでした。 逆にこちらポートランドでまわりを見渡しますと、日本人女性でアメリカ人のハズバンドをいただいてこちらにお住すまいの方が結構多くいらっしゃるのに気がつきます。 なるほど、草食系男子では、わが大和撫子からも袖に振られてしまうのでしょうね。

アメリカにいると、ただでさえ、アジア人男子には何か偏見的な視線みたいなものをアメリカ人女性から感じることがあります。 (アメリカ人女性がアジア系男性と結婚するのは圧倒的に少ないという事実がこの現実を物語っています。) 日本人男性はそのアジア人の中でも特に印象がアメリカ人女性には薄いように思われます。 若い日本人男性諸君に今後の日本人男子の名誉挽回に期待をかけたいところなのに、現状は逆方向に流れているかのようです。 その点、日本人女性は、国際的にも、そしてアメリカの中においても堂々とした立派なものだと感心することが多いです。 こちらポートランで根を張って生活されている日本人女性の爪の垢でも煎じて飲むしかないですね(古い表現で誠に恐縮です)、日本の若い草食系男子の方々には。


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