イメージ 1

日本の皆様にはほとんど馴染みのない英語表現になるのではないかと思うのですが、“My Way is Highway”という口語表現があります。この表現の意味するところは、少々意訳的ではありますが、「俺は俺の流儀でやるだけだから、その流儀に従わないヤツは、ここからとっとと出て行け」という大変強い意味になります。お分かりの通り、一種の捨て台詞のようなもので、決して良い意味など持っていません。しかし驚くことにビジネスの現場でもこの表現を耳にすることがごく稀にではありますが、あるにはあるのです。

遭遇する場面としては、権力を笠に着せたような管理職の上司が部下に対して、キレまくった状態で言い放つような言葉であります。 確か、マイケル・ダグラスとチャーリー・シーン主演の「ザ・ウォールストリート」(1987年)の映画の中で、登場人物たちが使っていました。と、書けば、大体どのような状況かは恐らくお分かりになっていただけると思います。こんな上司の下について働かなければならない社員は、悲劇の主人公以外の何者でもないのですが、差別やハラスメントが法律で厳しく禁じられているアメリカの職場の中にあってもこういう上司がまだ多少なりとも生存していることも事実なのです。

まあそれでも上司が部下に対して云うのであれば、決して褒められるようなことではないですが、状況はイメージできます。 しかし、上司ではなく、部下の人間がこのような言葉を言い放って、会社を辞めると云うこともままある話なのです。その場合、どのような事情があったにせよ、上司と部下との人間関係は決定的に決裂してしまっているので、会社の辞め方と云うのは、非常にアグリーな状態に陥っています。アメリカの職場では、上司との人間関係が原因で会社を辞めるというケースが最も多いとされています。

確かに会社の社員というものは、基本的には上司を自ら選ぶということは出来ません。それは会社員という宮使いをしている限りにおいては、洋の東西を問わず、職業人生における宿命です。上司からパワハラやセクハラを受けるような場合があれば、それはアメリカでは訴訟になります。 会社を辞めて訴訟に訴え出る人がかなりいるのですが、アメリカの法律では、会社や上司を訴えた人間は、逆に訴訟が決着(ほとんどの場合は、和解となる)するまでの間は、会社は訴訟を起こしたことを理由にその社員を解雇することは禁止しています。

そういった法律知識をアメリカ人一般が持っているかというと、必ずしもそうではないので、とにかく人間関係に問題のある上司のもとから一刻も早く立ち去りたいと考えるのが本音であり、アメリカ人とて同じなわけです。しかし、それでも私の眼から見ると、アメリカ人は少しでも馬の合わない上司がいれば、我慢がならなくなる人が日本人と比べてみると、多いように思います。 給料を毎月もらっている以上、仕事の中で我慢すべきところは多々あるのではないかと思いますが、どうもそうではない人がアメリカ人の中では、目に付きます。

捨て台詞を言い放ってやめていった人間の何人かは、現在のような深刻な経済危機後のこのご時世の中で、まさに就職難に直面している人が多いのも事実です。 何回も転職を繰り返している人であっても、経済が好循環を呈していさえすれば、比較的短期間に、次の就職先が見つかった模様ですが、今のアメリカではもうそんなことはありません。 一部のアメリカ人ですが、もう少し大人になって、この経済危機後の厳しいご時世に順応できる柔軟な人間性を身に付けて欲しいと感じます。 私の周りにもそのような人たちが何人かいます。 彼らの就職先が一刻も早く見つかるようにと念じてはいますが、同時に、“My Way is Highway”的な態度は、会社に勤め続けたいと思うのであれば、やはり是正する気持ちを持つ必要があるかと思います。

先月9月の全米平均失業率は9.8%です。 まもなく二ケタ台の失業率に突入することはほぼ間違いないことでしょう。高い失業率が、アメリカの経済や消費の回復への大きな足かせとなっていることもまた間違いない現実です。 捨て台詞を言っている様な状況には到底ないことを大いに自覚して欲しいと経営者側の私からは、アドバイスしたいと思います。 もちろん、捨て台詞をむやみに言うような上司も職場から退場してもらう場面が今後増えていくのではないかとも思いますがね。


PS. パシフィック・ドリームス社のサイトにも是非お立ち寄りくださいね。サイトは毎日更新しています。http://www.pacificdreams.orgまで。