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今年の夏は、本当に出張が多く、飛行機に飛び乗って、西から東へ、そして西海岸の都市に頻繁に行く機会がありました。 夏なものですから、ビジネス客以外にも家族連れであったり、友達同士での旅行客が多い時期でもあるのですが、以前ほど、日本人の旅行客の方々を空港や都市部で見かけなくなりました。 出張でお越しになっているビジネスマンらしき日本人はまあそこそこいるにはいるのですが、やはり以前よりは、少なくなっているように思えます。 その代わりといっては何なのですが、中国人やインド人の方々の旅行者が以前よりも目に付くようになりました。

私も学生時代(大学4年のとき)には、ワシントン州に短期間の語学留学をした後に、グレイハンドバスの夜行便を乗り継いで、ポートランドやシアトル、そしてカナダのビクトリアやバンクーバーまでバックパックひとつで気ままな一人旅をしたことがありました。 泊まり先もYMCAやユースホステル、そして州立大学の寮などに連泊して、コスト的にはとても安くあげながらも大変充実した旅を心から満喫した覚えがあります。 そのような旅先の中にでも、当時は、必ずといってよいほど日本人の人がいましたし、私と同じようにバックパックをしょった一人旅を楽しまれていました。 しかしながら、どうもそのような日本人を最近はあまりアメリカでは見かけなくなってしまったのです。

日本のメディアから聞こえてくるのも、最近の日本の若者は、内向き志向で、景気の低迷や非正規社員の増加などで、収入の不安定化ならびに将来の設計に希望が見えないなどの理由から、海外旅行に出る若者がかつてほどいなくなったという報道です。 海外に目を向ける代わりに、京都や奈良などの日本国内における伝統的な地域に自らの関心を深めたり、より身近なところで、擬似的な旅を経験するような趣向が増えているといったことも書かれてありました。 経済的に不安定で、リスクも犯したくない、日本にいればそこそこ安全で、言葉の問題もない、人々も親切ということで、あえて海外に飛び出す必要性をまったく感じない日本の若者が大勢を占めてきたということに対して、なるほどそんなものなのかなという程度の感慨ぐらいしか私には涌いてきません。

しかし、国土が狭く、少子高齢化といえどもまだ人口密度は高く、そのくせ農産物の国内自給率も低く、天然資源を持たない日本という島国に住む日本人が世界の人々と伍してこれからも生きていくためには、世界の人々と交友することで、その友好関係を樹立し、ビジネスや文化の親交にいそしんでいくしかないように考えます。 少なくとも、私が学生であった頃には、そのような暗黙の了解みたいなものがあって、海外に出て日本を見つ直してみようといった気概もあったと思っています。 そんな限られた国土と資源としか持たない日本がますます内向き志向を続けていったとしたら、早晩、日本は、世界の中でも存在の薄い国に成り果ててしまうのではないでしょうか。

すでに今後は、米中の時代だということで、GNP第2位の日本はその座を中国にまもなく引き渡してしまうことになるでしょう。 そうなった後には、日本はもうズルズルと地盤沈下を続けるしかないのでしょうか。 そのような危機感を私は大いに持っていますが、今の若い世代は、恐らくそのような危機感からも遠く、日本の世界における存在感といったことさえも、きっともう彼らの関心事ではないのでしょうね。 しかし世界が変わるとともに日本も変わっていくわけですから、その世界に対峙することなしに日本が世界の変化に追いついていくのは容易ではないはずです。

以前のように日本人旅行者をアメリカの空港や機内で見かけることがないと云うのは、とて淋しいことですし、まさに国力の衰えさえも感じさせます。 ポートランドから成田に向かうフライト(ノースウエスト便)の機内では、半分以上は中国人と韓国人の方々です。 彼らを見ていると、国としての勢いを感じさせてくれます。 英語が出来るとか出来ないとか以前の問題で、勢いがあるのです。 日本人は、先ずその辺のところからしてすでに気後れしてしまっていますね。 私が学生であったときには、手振り身振りで立派に会話を通しているバックパック姿の個性的な日本人が大勢アメリカを旅していましたが、もう積年の思い出話にしかならないのでしょうか。


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