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アメリカで、カスタマーサービスの担当者の人から、自分から見て不当な取り扱いを受けたり、気分を害されるような応対を受けたときに、日本人としてどのような対応をとったらよいのか、今回はそんな話を書いてみます。 まずは、日本の柔道の精神でもあり、奥義でもある「柔よく剛を制す」が最も有効ではないかと思います。 誰でも失礼で間違った応対やお客とお客とも見ないような態度でサービスを受けるようなことがあれば、すぐに感情的になって知らず知らずのうちに声を荒げている自分がいるのに気が付くことがあります。 しかしこれでは、油に火を注ぐようなもので、望ましい解決には、程遠い展開を自ら選択して足を踏み出していくようなものとなってしまいます。

先の私のブログにも書いたのですが、アメリカでは、日本と比べてカスタマーサービスにおける個人差が非常に大きいという現実があります。 私たちは皆人間なのですから、相性のよい人もいれば、まるっきり相性が正反対で合わない人が世の中にはいます。 さらにアメリカでは、異なる人種、言語、異文化、宗教、家庭環境、教育レベルなどの違いなどから生じる価値観や美意識の違い、さらにマナーやエチケットの差という要素もいやおうなしに現実的には、好きと嫌いとにかかわらず社会の中で複雑に絡んで存在しています。 結論から言うと、いかに理想的なこと唱えてみたところで、価値観や相性の合わない人とどんなに議論を戦わせてみても、残念ながらよい結果は決して得られないということです。

銀行の窓口で列を作って並んでいると、窓口の順番が来ているのに、あえて後ろに並んでいる人に自分の番を先に譲る人がいるのを時々見かけます。 それは、その人は、自分のことをよく知っているカスタマーサービスの人に任せた方がことがはるかにスムーズにいくことを熟知しているからにほかなりません。 また、相性の悪いカスタマーサービスの人とは、こちらからあえて避けようという意志の表れでもあるのかもしれません。 そのようにして、自ら進んでカスタマーサービスの担当者を選択しようとするアプローチは、とても賢明なやり方だと感じています。

初めてのお店などで、運悪くどうしても融通の利かない、話の分からないカスタマーサービスにめぐり合ってしまったようなときには、やはりいくら話をしても無駄なだけですので、こちらとしてはあっさり引き下がり、効率は悪いのですが、また列を並び直すか、別の支店に行くなどして、相性の少しでもよい人とめぐりあえるような手立てを持つしかないのではないかと思います。 時々、感情をあらわにして、マネージャーを出せと窓口で怒鳴っている人がいるのを見かけることがありますが、やはり仮にマネージャーが出てきたにしても、果たして本人が望むところの解決策がそれで得られるのかどうかは、難しいところがあります。

アメリカでは、せっかく相性の合う担当者との人間関係が出来ても、担当者がすぐにやめてしまったり、不況下でリストラされたりで、人がしょちゅう変わってしまいます。 せっかく馴れて自分のことを分かってくれているカスタマーサービスの人がそうこうしているうちにいなくなってしまい、また新しい人との人間関係をゼロから築かなければならないと云うのは、実際、本当に骨の折れる話です。 しかしそれも人の流動性の激しいアメリカにあっては、ひとつの宿命であると自ら受け入れる気持ちを持ち、いつでも新しい人との人間関係をオープンに築いていける積極的な姿勢がこの国では特に必要とされます。 それら多くの外部要因は自分では決してコントロールすることが出来ないことばかりですから、それであったら、ただ単にあきらめるというような消極的な態度に甘んじるのではなく、むしろこちらから積極的に進んで受け入れていくという態度を維持することがストレスの軽減にも効果的な訳です。

考えてみれば、世の中の景気や1年先の経済状況や株式市場などは、どれもこれも不確定なものばかりで、あえて先行きを予測をしてみたところで、それで安心できるといったような類のものでは決してありません。 カスタマーサービスの人と上手に付き合うのも、そして不確定なこの経済の成り行きとうまく対峙していくのも、所詮は、私たち自身の心の持ちようから来るものであり、それはまさに自らの選択によるものだと思います。 ですから、その都度で過度に感情的になったり、怒りをぶつけていたのでは、間違いなくストレスにやられて、それこそ身も心もボロボロになってしまうのがオチだと思うのです。


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