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皆さん、“グリーン・ホッパー”(Green Hopper)という名前の付いたカクテルがあることをご存知ですか? カクテルですから、もちろんアルコール入りです。 私はつい先日、このグリーンホッパーをテキサスのオースティンで行われました翻訳会社のカンファレンスで味わったのですが、それまではそのカクテルのその存在さえ知りませんでした。 そう、カクテルには、比較的疎い方なのです、この私は。

グリーンホッパーというのですから、ご想像の通り、このカクテルは、昆虫のバッタのような緑色をしています。 グリーンホッパーは、クレームド・カカオ・ホワイトとクレームド・ミント・グリーンいう2種類のリキュールに、生クリームをこの順番で等分にフロートしてビルドさせれば出来上がりです。 カカオとミントの組み合わせに、生クリームが加わりますので、ミントチョコレート・アイスクリームにアルコールが浸っているような味わいがなかなか乙な感じといったところです。

なんで、このグリーンホッパーをテキサスのオースティンで味わったかといいますと、それにワケがあります。 翻訳会社のカンファレンスの中日に、適当なメンバーが20名ほどが集い、その夜のディナーにオーステインのダウンタウンへとホテルから繰り出しました。 私も気がつくとそのグループに加わっていて、メンバーの最古参であるジェリー(男性ですが、自分の作った翻訳会社を最近リタイアされた方です)が見つけたという、ステーキ&シーフードのオーステインの中でも有名なレストランに向かいました。

お店の作りもかなり洒落ていて、フランス料理風レストランの雰囲気とテキサス的な開放感のある広々とした空間のある店内で、素晴らしいお店でした。 ウェイターの対応やサービスも申し分なく、オードブルを各テーブルに無料サービスで一品ずつ運んできてくれました。 こんな気前の良いお店、初めて入るところとしては、アメリカでは初めてのことでした。注文したシーフードも申し分のない料理で、このお店に集ったすべてのメンバーは、大満足でした。 さて、ディナーが終わりに近づいたところで、ジェリーが、店のウェイターと盛んに何かを掛け合っていました。

私の隣に座っていた、ある著名翻訳会社の女性経営者は、あれは、ジェリーが私たち全員にグリーンホッパーのオーダーをしているところなのよと私の耳元でささやいてくれました。 さらに彼女が教えてくれたのは、カンファレンス期間中のデイナーで、参加者全員にグリーンホッパーを食後に振舞うのが、ジェリーの長年のトラディション、つまり伝統行事だというではありませんか。 このカンファレンスは、今回で第7回になるのですが、どうも私がジェリーを含むこのグループに加わってディナーに行くと云うのは、今回が初めてであったようで、このグリーンホッパーの伝統は、第1回目のカンファレンスから欠くことなく、毎回続いていると云うのです。

レストランのウェイターもこのお店では、グリーンホッパーは今までに作ったことがないと最初ジェリーに云ったそうなのですが、ジェリーは、自分の伝統死守を目前にして、おいそれとは引き下がるわけにいかず、ウェイターにグリーンホッパーの作り方をとうとうと指南し、最初の試作品をジェリーに持って来させました。 ところがジェリーは、この試作品には満足できず、さらに店の料理長を呼んで、グリーンホッパーの再指南を行いました。 ついに料理長が持ってきた2回目の試作品を味わったジェリーに初めて笑みがこぼれ、これを全員に振舞うようにとの仰せがその場で発せられました。

このようにして、私たる者もジェリーの伝統にのっとった、グリーンホッパーを味わう貴重な機会が与えられたのでありました。 ただし、どうしてジェリーが、これほどまでにグリーンホッパーにこだわるのか、それは誰も知らないようでした。 アメリカ人の中には、他人にはなかなか理解できないようなこだわりを持っていて、それをかたくなに守り続けている人たちが少なからずいるようなのです。 ジェリーが、全員から祝福されて、グリーンホッパーのお礼の言葉に満面の笑みを浮かべて上機嫌であったのを見ただけで、私たち全員も至福のひと時を味わった気がいたしました。


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