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先週から今週にかけて、地元(オレゴン州セーレム市)新聞社である“Statesman Journal”のトップ記事は、ほぼ毎日のようにアメリカの金融危機についてのものばかりです。 その記事を丹念に拾って英語で読んでみてまいりますと、“Bailout”という見慣れない英単語にぶち当たります。 この英単語の意味がどうにも分かりませんと、記事全体の意味からしてまったく解釈不明になってしまうのです。 明らかにこの“Bailout”という英単語は、今回の一連のアメリカにおける金融危機の顛末を理解する上で、重要なキーワードであることに間違いないとひしひしと感じられた次第です。

では、この“Bailout”についての種明かしです。 もともと“Bail”という単語には、「保釈金」とか「保釈保証人」という意味があることわかりました。 そこに“out”がつくことによって、「保釈金を積んで(被告を)釈放(救済)する」という意味になります。 もともとの意味としては、このように保釈金絡みの状況から来ているのですが、今回の住宅バブルから端を発した未曾有の金融危機で使われる“Bailout”の意味は、もちろん保釈金ではなく、経営危機に瀕して今にも沈みゆくばかりの企業(特に銀行などの金融機関)を救うための「緊急の企業救済措置」という意味に転用されて使われていることが辞書などから判明しました。

やはり証券会社や保険会社などがバブルが見事にはじけたことによって、このような大規模な金融危機の状態に陥らない限り、普通には新聞紙面でも目にしない、ある意味、非日常的な英単語であったわけです。 アメリカ政府とFRB(連邦準備制度理事会)とで決めた、AIGというアメリカ最大の保険会社の救済措置などは、まさにこの“Bailout”にピッタリ当てはまるわけです。 そのために天文学的な巨額の財政支出がアメリカ国民の税金から拠出されることになります。 これに対して、共和党のマケイン候補も民主党もオバマ候補も明確な賛否の判断をしかねている様子でもあります。

私としてもなぜ政府を代表するポールソン商務長官は、リーマン・ブラザーズを見放して、倒産まで追い込んだにもかかわらず、AIGについてはBailoutに踏み込で救済したのか、今のところ誰にも明確に分かりうる説明はなされていないのが、非常に不思議なところです。 確かにこれらアメリカないし世界の金融業界のトップクラスに長年君臨し続けた大企業が立て続けに倒産に追い込まれるような事態になれば、世界経済はとんでもない負のスパイラルに巻き込まれれ、収集不能な状態になるのは、火を見るよりも明らかでありますから、AIGを救うことでその負の大スパイラルを食い止めたということは、説明としては理解できるますが、それでは、なぜリーマンは見放したのかということについては、やはり説明が十分にはなされていないというが実情のところなのではないでしょうか。

人間の下す判断というのは、一見論理的になされているようで、実はほとんどの決断や判断というのは、本人の感情によって左右されて決められているというのが最近の心理学からの新しい発見であるとどこかの本で読んだことがあります。 ポールソン長官は、リーマン・ブラザーズに個人的な恨みや敵対心が過去のゴールドマン・サックス時代にあったのではないでしょうか。 逆にAIGには、昔何か取引上のお世話をしてもらったとか、どうもそのような内実があったのではないかとさえ勘ぐりたくなります。 でも人間なので、政府の長官級クラスの人であったって、感情で動くときは感情で動いて最後判断するとしても決して驚きでも何でもないです。 ただ、その個人的な感情による判断が、その後で波及する負の効果は、世界中でとてつもなく大きいものになるということだけは、長官といえども肝に銘ずる必要がありますが。



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