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英語で書くと、もちろん“Jump Start”となります。あまり日本ではなじみのない言葉ではないかとお察しします。 もともとは車がエンストを起こして路上で止まってしまったような場合に、ジャンプケーブルというものを使って、他の車のバッテリーに一方の端末をつなぎ、もう一方の端末をエンストを起こした車のバッテリーにつないで、思い切ってアクセルをふかして、再度、車をスタートさせるというところから、この言葉の由来があります。

オリジナルはそのような意味であったのですが、現実の世界で使われる意味としては、“パッとしていなかった状況を何とか打開して、活性化させる”とか、“先手必勝の戦略を早期に実行して、先頭集団に躍り出て、そのままゴールを目指す”とかいった意味でアメリカの中ではよく使われています。

私の娘がまだ高校生3年生ぐらいであったときに、3年生が終わって4年生に進級する前の夏休みに、オレゴン州立大学で高校生を対象としたアートの夏季プログラムが企画されました。 そのプログラムの名前がこの“ジャンプスタート”というものでした。 なぜジャンプスタートという名前がつけられていたのかについては、高校生のときに夏休みを使って大学のキャンパス の中で、すでに大学生になったような環境で、大学の講義とほぼ同等のアートのクラスを受講できるという触れ込みであったからです。

高校の授業しか受けたことのない普通の高校生を対象にして、高校在学時の早い時期から大学の教授について大学の授業を経験してもらうというプログラムで、約3週間、キャンパス内にある学生寮に住み込みをして、まったく普通の大学生とかわらないキャンパスライフを満喫するというものでした。 娘は、このジャンプスタートに参加をして、大学の授業と大学の教授、そして大学が持っている素晴らしいキャンパスとその環境とを高校生にして、夏3週間の体験として過ごすことができたわけです。

ジャンプスタートは経済用語としてもよく使われるようです。 停滞気味の経済を活性化するための様々な試みや規制緩和、金融政策や産業振興のための助成などが、経済界で使われるジャンプスタートの具体例です。 しかしながら、昨今のサブプライム問題から発生した今回の住宅バブルの崩壊では、アメリカ連邦政府も財政当局も完全に後でにまわってしまっている感じが拭いきれません。 日本政府当局の場合はもっとひどく、任期の切れた日銀総裁もいまだ決められず、ジャンプスタートのまさに対極にあるといっても過言ではないと思います。

ビジネスでもジャンプスタートをして、先行者利益をあげるというのは昔も今も重要な戦略のひとつであることに異論はないと思います。 しかしながらテクノロジーの進化のスピードが飛躍的に増して、先行者利益を享受できる時間はますます短くなり、したがって企業が謳歌できる利益もますます先細り気味です。 スモールビジネスの場合では、ジャンプスタートできたうちはよかったのものの、大手企業にその後買収されるという憂き目にあうことがアメリカの中では日常茶飯事です。 それでもやはりジャンプスタートができたらどんなによいでしょうか。企業経営者としては、一度は目指したいところです。



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