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2月の後半にスキー場の設備関係の仕事で、コロラド州デンバーに行ってきました。2月のデンバーというと、街並みは雪にまだ覆われたイメージを抱いて行ってみたのですが、街中の雪はほぼすっかり溶けていて、道路の端にわずかばかりの雪が積み上げられていて、そこだけは溶けずにまだ残っているといった感じでありました。朝晩は、氷点下10度前後まで下がる厳しい冷え込みではありましたが、日中は気温も上がり、デンバー滞在中は天候も快晴の日が続きましたので、氷や雪も溶け、比較的しのぎやすい状況で仕事に打ち込むことができました。

仕事と申しますのは、日本から大型の雪上車をデンバーにあるスキー場関係の設備販売店までコンテナで海上輸送し、到着後は、その雪上車をコンテナから下ろして、組み立てを行い、組み立て後は近くのスキー場まで移動させ、試運転を行うというものです。私は、現場通訳ならびにプロジェクトのコーディネーターとを兼ねて5日間の出張に出向いた次第です。

到着した次の日の朝に40フィートのコンテナが予定通り、指定した下ろし場所に入ってきました。オープントップコンテナという天井が開くタイプのコンテナで、大型のクレーン車を依頼して、クレーンで雪上車の本体を吊って、地面まで落としたり、傷つけたりすることなく、きわめて順調に下ろし作業を終え、続けて、下ろした雪上車の組み立てにと移りました。コンテナからの下ろし作業と組立作業で丸2日を要しました。

3日目は、大型トラックを呼んで、今度は組み立ての終わった雪上車をデンバー郊外にあるスキー場まで試運転のために運ぶ作業に入りました。こちらもベテランのトラック運転手のおかげで事無きを得て、すべて順調にスキー場まで雪上車を運ぶことができました。当初、リフトのあるスキー場をイメージしていたのですが、到着したその場所は、まったくの山間の中の森林地帯で、これからスキー場を建設するという場所でした。建設するといっても現在は、連邦政府からの許認可待ちの状態であるということで、スキー場のオーナーは、デンバーに本社のある大手ビールメーカー“Coors”の一族であるということでした。

なるほど、スキー場をこれから建設するところであれば、この雪上車は大いに活躍できるなと思いましたが、話を聞いていると、私たちが思い浮かべるような一般的なスキー場ではなくて、ハーフパイプと呼ばれる、様々なジャンプ台などを随所に配置した、“Snow Park”とアメリカでは呼ばれる、まあ新しいタイプのゲレンデになるということでありました。

それにしてもそこのゲレンデ・マネージャーに訊いてみましたところ、ゲレンデの先にある峰のピークの標高は、11,000フィートだというではありませんか。1フィートは約30センチでありますので、3,300メートルです。このような標高の高いところまできたのは、多分生まれて初めてのことで、話をするだけでも息が切れ、心臓の鼓動が高くなります。気温は、氷点下15度以下で、吹雪というほどでもないのですが、雪がときおり舞っていました。

11,000フィートを超えると木も生息できないということで、ピークのあたりでは、雪また雪の真っ白な世界でしかありません。時折何かが落ちたような音が聞こえるのですが、あれは、裏山で起こっている雪崩の音だとゲレンデのマネージャーは涼しい顔で言ってくれます。ここまでの移動は、雪上車かあるいは、スノーモービルになりますが、雪が深く、傾斜のきついところでは、いずれにしても移動するのは容易なことではありませんでした。それでもスキー場建設で働く若い連中は皆、ガッツのあるアメリカ人らしい雪山野郎ばかりで、滅多にこのようなところに行くことのない今の私にとっては本当に忘れられない思い出を作ってくれました。



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