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昨今、日本でもアメリカの景気先行きを懸念する象徴として、低所得者層に向けに住宅融資を行ったサブプライム・ローンの問題について多くの報道がなされているかと存じます。このサブプライム問題のおかげでアメリカにある多くの主要な銀行は軒並み大幅な減益や巨額の赤字を計上しているということで、アメリカの景気後退がまことしやかに論じられています。また、これは一種のバブルの崩壊だというメディア側での論調が旺盛で、来年いっぱいぐらいまでは、アメリカはこの住宅バブル処理の後始末に追われることになるという悲観的な見通しを立てています。

私の住んでいるオレゴン州セーレム市周辺を見回しても、完成したばかりの新築住宅の売れ行きが鈍ってきているのがわかりますし、売りに出されている中古住宅についても長い間、売り手がつかずに不動産ブローカーが二転三転していることが眼に付くようになりました。また、住宅価格を値下げしたという立て札にも遭遇するようになりましたので、これは確かに住宅不況が訪れたということを感じさせる数々の証左として取り挙げることのできる事例ではないかと思います。

アメリカの経済は、政策的にできる限り多くの国民に持ち家を持たせ、その新しく所有した家に家具や電気製品などを購入させるために、さらにお金を貸し付けるということを推奨し、政府も国策として推進してきたように思いますが、中南米からの移民を主に対象とした低所得者向けのサブプライム・ローンの破綻という、冷静に考えればそのようなリスクはもともと存在していたわけでもありますから、住宅バブルの崩壊が始まったというのは、押して知るべしかなという印象を受けます。

アメリカの住宅は過去30年間で年率平均7%の値上がりを記録してきたといわれていますので、住宅市場は、多くの投資家や不動産業者にとってはまたとない投機の対象としてとても魅力的であったはずです。この率で計算すれば、10年で住宅の価格は倍になるということを聞いたことがあります。私たちが住宅を二度ほどアメリカで購入してきた過去20年近くの相場を振り返ってみましても、この数字は当たっているような気がいたします。

オレゴン州の住宅は、カリフォルニア州から移り住んでこられる人々によって特に価格上昇のほとんどを支えられてきたと申しても過言ではない状況にありました。カリフォルニアは、ご存知のように、サンフランシスコやサンノゼあたりのベイエリアやロサンジェルス近郊など、驚異的な住宅価格の上昇を記録している地域で、自分たちの家を売って、オレゴンに移れば、今までの家の2倍から3倍の大きさの家を売却した家の価格で容易に買うことができるという例が普通でした。

そのために、このオレゴン州からワシントン州にかけてのパシフィック・ノースウエストと呼ばれる地域の住宅価格の平均は、伸び率は下がっているものの、いまだに年率では5%程度の上昇を今年に入ってからでも記録しているというのです。アメリカは広いので、住宅価格については、地域によって随分と格差があるようです。つまり、アメリカ全体でいえば、住宅バブルははじけたという言い方はあたっておりますが、ことノースウエスト地域に限っては、まだまだバブルはこれからも進行するだろうという予測なのです。オレゴン州とワシントン州もそう遠からず第二、第三のカリフォルニアのベイエリアになる日が来るのかもしれません。



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