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私が定期購読(聴講)している、“最新USビジネス書籍考”というオーディオ・ブックのサービスがあるのですが、その最新号は、“THE 4-HOUR WORKWEEK”という本のサマリーの紹介でありました。本のタイトルがダイレクトに示しているように、週4時間しか働かなくても年間4万ドルの収入を得るというのが、本書の内容になっています。

普通の人がこのような垂れ込みなどを耳にすれば、眉唾ものの本に違いないと思われますのは、至極当然であり、このサマリーを数回聴講した私もやはり、尋常では到底週4時間勤務で、年4万ドルの収入を懐に入れることなどはできないだろうというのが偽らざる感想となっています。

では、まったくのデタラメ本で、則ゴミ箱行きにしてしまう本なのかといいますと、さすがに最新USビジネス書籍考でご紹介してくれた書籍だけありまして、いくつかのところではポイントをついていて、なるほど、このような考え方もあったのだなと感心させられる箇所が出てくるのです。

例えば、会社や上司に対して、4週間にわたる工業デザインの集中講座を受講したいので、その授業料を会社負担でお願いできないかということをリクエストするわけです。当然、このような講座の受講には、それ相当の出費がかかり、会社としてもそうおいそれとは即座にOKを出すようなしろものでもありません。ですから、この高価な集中講座を取ることによって、どれだけ自分がスキルアップできて、そのスキルを会社に還元でき、いかにして新製品の設計開発に貢献していけるのかを論理的に説明するわけです。

その論理的説明に会社が折れて、集中講座受講が決まれば、それは会社にとっても大きな決断で、一種の投資をその社員に行うということになるわけですから、会社としてもよほどのことがない限りにおいて、その社員の首を切るということは簡単にはいかなくなるというわけなのです。そしてそのことは、社員にとっては、会社からの英語で言うところの ”Job Security” が相当高く今後見込めることを暗黙のうちに指し示すことになるのだというわけなのです。

社員が外部の講座を受け、それでスキルアップすることに対して、社員側にこのようなしたたかな公算があったのかということを本書を通じて初めて知りました。つまりこの書籍の中には、このようなしたたかな賭けというか、会社に対しての巧妙極まりない戦術が、随所に散りばめられているのです。さまざまな戦術を駆使することによって、社員は自宅で仕事をする要求を会社に認めさせることになります。

そしてその自宅勤務ができることになったら、週4時間働くだけで、あとは、海外旅行に出かけたりすれば、よりリッチな人生を極めることができるのだという結論に導いているのです。しかしながら、本書で紹介されている多くの戦術が、倫理に反するものがほとんどで、そのような非倫理的なやり方をとって、自宅勤務を会社から認めさせたとしても、通常の人間であれば、良心の呵責にさいなまれるはずであるということが本書では完全に抜け落ちています

まあ、そのような良心の呵責を感じるような読者は最初から想定だにしていないのでしょうね、この種の本では。著者は、巧みな戦術を通じて勝ち取った週4時間勤務のライフスタイルを実現することによって、ニューリッチの仲間入りを果たすことができると結論付けしています。しかし、非倫理的な戦術を使わなければ、仲間入りを果たせないニューリッチなるものに、まっとうな人間としてどれだけの価値がそこにはあるのかと思いますと、暗澹たる気持ちに襲われます。このような人間が会社に今後溢れ出てこないことだけをまずは祈願してみたいと思いますね、経営者の私としては。




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