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「青春の光と影」、これは曲のタイトル、というか、英語の原題は、”Both Sides Now”というジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)という60年代終わりから70年代80年代に大ブレイクしたシンガーソングライターの名曲の邦訳タイトルです。

私が青春を過ごした時代の名曲中の名曲であるがゆえに、数多くのアーティストが古今東西を問わず、歌ってきた曲で、最も有名であるのが、ジュディ・コリンズ(Judy Collins)によるもので、ジョニ・ミッチェルのアルバムよりも先駆けて1968年にヒットしたそうです。(その頃まだ私は小学生で、洋楽やポップスなどというものが存在することさえ知りませんでした。)日本でも赤い鳥やトワエモア(私の過ごした青春時代がこれでお分かりになりますよね)が歌っていたことがあるそうです。

この曲、歴代の私の好きな曲ベスト10を作ったら、やはり10位以内に間違いなく入り込んでしまうほどの曲で、メロディといい、ジュディ・コリンズの澄み渡るような美しい歌声といい、何回聞いても私は虜になってやまない曲であり続けました。

私の住むオレゴン州セーレム市のダウンタウンには、今から100年以上も前に建立された立派な劇場がいまだに改造を重ねて使われており、年に数回は、かつてはブレイクして大変な極光を浴びた往年のアーティストが訪れて、コンサートを催してくれます。(いわゆる“ドサまわり”を今はしているわけです。)そのようなアーティストのやってくる機会があり、無視しておくわけにはいかないような場合には、寸暇を惜しんで妻とともにできるだけコンサートに足を運ぶようにしています。

そして、今からもう4,5年前のことになるでしょうか、なんと我町セーレムにそのジュディ・コリンズ当人がきてくれて、コンサートを行ってくれたのです。そのとき、もちろん初めて舞台のジュディ・コリンズの美しさ(といっても彼女はすでに60代だったのではなかったでしょうか)をこの目で確かめることができ、この「青春の光と影」もしっかり聴き入りました。そして、彼女のベストアルバムをコンサート終了後に買い求めました。

このジュディ・コリンズのコンサートを実際に聴くまでは、恥ずかしながら「青春の光と影」の歌詞の中身については、まるっきり無頓着でおりました。(というよりは、英語の歌詞を聞き取ることができませんでした。)ただただ、美しいメロディと彼女のやはり清楚で美しく上品なイメージとが結びついて、もうそれでこの曲は十分に自分の中では名曲中の名曲になっていました。

時々通勤途中でジュディ・コリンズのベストアルバムを聴くのですが、繰り返し聴くうちにこの曲の歌詞がどんどん聞き取れるようになり、何を言わんとして作られた歌であったのかが、かなりクリアに理解できるようになりました。まあ、この曲を書いたのは、ジュディ・コリンズではなく、ジョニ・ミッチェルなのですが、二人とも当時を代表するアーティストであり、同じような感性を持っていたことは容易に想像がつきますから、多分20代の女性が感じた恋愛感や人生感について、こういうみずみずしい感覚の表現の仕方があったのだなと感無量になりました。

それにしても、邦題である「青春の光と影」とは本当にうまく付けられた名タイトルであると、歌詞の中身を知ってこれまたあらためて感心しました。当時はまだ映画のタイトルにしても、そのまま英語の原題を持ってくるのではなく、けっこう渋くて、味わいある日本語タイトルが付けられていたように思います。

空に浮かぶ雲(Cloud)の形から発想したさまざまなイメージがベースとなってこの歌の歌詞は次第に展開していきます。(そういえば、ジョニ・ミッチェルのこの曲の入ったアルバムタイトルは、”Cloud”でした)ジュディ・コリンズの発声の美しさとクリアなことといったら、まさに比類なきもので、日本人にとりましては、リスニングの最適な題材になること間違いなしです。この「青春の光と影」は、私にとって、これからも永遠の青春の歌であり続けることはまちがいないことでしょう。


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